【大人の学び直し英語】受動態 (be動詞 + 過去分詞)の完全ガイド
英語を学び直す際、「能動態」と「受動態」の違いは一つの大きな関門です。日本語でも「~する」と「~される」というように視点が異なりますが、英語ではこの使い分けが非常に重要になります。
受動態は、主語が「何かをされる」側の立場になる文法です。この記事では、受動態の基本的な形から、能動態との書き換え、さらにはどのような場面で受動態が使われるのかまで、豊富な例文と共に徹底的に解説します。視点の違う表現をマスターし、英語の表現力を一気に高めましょう。
1. 受動態の基本ルール:「be動詞 + 過去分詞」
受動態の最も基本的な形は、be動詞 + 過去分詞 です。主語に応じて is, am, are, was, were などを使い分け、その後に動詞の「過去分詞形」を置きます。
過去分詞とは?
過去分詞は、動詞の変化形の一つです。多くの場合、play → played のように -ed をつける「規則動詞」ですが、write → written や speak → spoken のように形が大きく変わる「不規則動詞」も多くあります。これらは覚える必要があります。
基本的な受動態の例文
主語が「~される」というニュアンスを確認しましょう。
English is spoken all over the world. (英語は世界中で話されています。)
※ 英語が「話す」のではなく、「話される」側になっています。
This desk was made by my grandfather. (この机は私の祖父によって作られました。)
※ 机が「作る」のではなく、「作られた」側になっています。
2. 能動態と受動態の書き換え
受動態を深く理解するために、能動態(「~が~する」という文)からの書き換え練習が非常に効果的です。ポイントは「視点の移動」です。
能動態:動作主(する側)が主語
まず、能動態の文を見てみましょう。誰が何をしたかが明確です。
Tom wrote this letter. (トムがこの手紙を書いた。)
- 主語 (する側):
Tom - 動詞:
wrote(書いた) - 目的語 (された側):
this letter
受動態:動作を受ける側が主語
次に、この文を受動態に書き換えます。能動態の「目的語(された側)」を主語に持ってきます。
This letter was written by Tom. (この手紙はトムによって書かれた。)
- 主語 (された側):
This letter - 動詞:
was written(書かれた) - 動作主:
by Tom(トムによって)
【ポイント】書き換えの3ステップ
能動態から受動態への書き換えは、以下の手順で行います。
- Step 1: 能動態の「目的語」を、受動態の「主語」にする。
- Step 2: 動詞を「be動詞 + 過去分詞」の形に変える。(時制に注意!)
- Step 3: 能動態の「主語」を、
by 〜の形で文末(または動詞の後)に置く。
3. 時制ごとの受動態
受動態の時制は、be動詞 の形を変えることで表現します。過去分詞の形は変わりません。
現在形 (is/am/are + 過去分詞)
習慣や現在の状態を表します。
This room is cleaned every day. (この部屋は毎日掃除されます。)
過去形 (was/were + 過去分詞)
過去に行われた動作を表します。
This bridge was built in 1980. (この橋は1980年に建設されました。)
未来形 (will be + 過去分詞)
未来に行われる動作を表します。
The new system will be introduced next month. (新しいシステムは来月導入されます。)
現在進行形 (is/am/are being + 過去分詞)
「今まさに~されている」最中であることを表します。
A new house is being built across the street. (通りの向かい側で新しい家が建設中です。)
現在完了形 (have/has been + 過去分詞)
「(既に)~されてしまった」「(ずっと)~されている」という完了や継続を表します。
The report has just been finished. (レポートはちょうど終わったところです。)
4. 「by 〜」を使わない受動態(受動態が好まれる場面)
受動態の文は、必ずしも by 〜(〜によって)を必要としません。むしろ、by 〜 を省略する場合の方が多いくらいです。受動態は、特に以下のような場面で好んで使われます。
(1) 動作主が不明確、または重要でない場合
「誰が」したかよりも、「何が」されたかという事実が重要な場合です。
My wallet was stolen yesterday. (昨日、財布が盗まれた。)
※ 誰が盗んだかは不明(または、警察以外には重要ではない)ため、by someone は普通言いません。
(2) 動作主が一般の人々(当たり前)の場合
動作主が「一般の人々」や「専門家」など、文脈から明らかな場合です。
Rice is grown in Niigata. (新潟では米が栽培されている。)
※ by farmers(農家によって)と言うのは当たり前なので省略されます。
(3) 動作を受ける「モノ」や「コト」を主役(主語)にしたい場合
客観的な事実やニュース、科学的な説明など、動作主よりも「対象物」に焦点を当てたい場合に使われます。
The new law was passed in the assembly. (新しい法律が議会で可決された。)
※ 誰が可決したか(議員たち)よりも、「法律が可決された」という事実が重要です。
まとめ:受動態で視点を使いこなそう
今回は、受動態の基本を徹底的に解説しました。最後に重要なポイントを振り返りましょう。
- 受動態の基本形は
be動詞 + 過去分詞。 - 主語が「~する」側(能動態)ではなく、「~される」側になる。
- 能動態の「目的語」が、受動態の「主語」になる。
by 〜を使わず、「誰がしたか」を曖昧にしたり、省略したりできる。- 「モノ」や「コト」を主語にして、客観的な事実を伝えるのに適している。
受動態は、単なる文法の書き換えルールではありません。話し手が「何に焦点を当てたいか」によって使い分ける、高度なコミュニケーション技術です。ぜひ例文を何度も音読し、「される側」の視点に慣れていってください。