わかる中国語文法⑩:最重要動詞「是・在・有」完全ガイド(存在文・二重目的語)
こんにちは!中国語文法シリーズの第10回です。
第9回では、文の骨格である「主語・述語・賓語」について学びました。今回は、その中でも「述語」の王様とも言える、中国語で最も重要で基本的な3つの動詞「是 (shì)」「有 (yǒu)」「在 (zài)」を徹底的に解説します。
「AはBだ」「〜を持っている」「〜にいる」という、あらゆる会話の土台となる表現です。さらに、これらを使った「存在文」や、「〜したい」「〜できる」といった「助動詞」、「(人に)(物を)あげる」という「二重目的語」の文まで一気にマスターします!
中国語の基礎を支える3大動詞
動詞「是 (shì)」を用いる文 (A=B の判断)
「是()」は、英語の"be動詞"に似ていますが、「A = B」というイコールの関係(判断・定義)を表すときにだけ使います。
第9回で学んだ通り、形容詞(例:きれいだ)の前には使わないので注意しましょう。
構造: A 是 B。(AはBである)
否定: A 不是 B。(AはBではない) ※不()のトーンがに変わります。
- 我是学生。() - 私は学生です。
- 他不是老师。() - 彼は先生ではありません。
- 这是什么?() - これは何ですか?
動詞「有 (yǒu)」を用いる文 (所有・存在)
「有()」は、「〜を持っている(所有)」または「〜がある、〜がいる(存在)」という2つの意味を持つ重要な動詞です。
構造: (主語) 有 賓語。(〜は〜を持っている/いる)
否定: (主語) 没有 賓語。(〜は〜を持っていない/いない) ※不有(bù yǒu) とは絶対に言いません!
- 我有一个哥哥。() - 私は兄が一人います。(所有)
- 他没有钱。() - 彼はずかねを持っていません。(所有の否定)
- 这里有人吗?() - ここに(誰か)人はいますか?(存在)
動詞「在 (zài)」を用いる文 (場所)
「在()」は、「〜にいる、〜にある」と、人や物が「どの場所にいる/あるか」を表します。
構造: 主語(人/物) 在 場所。(〜は〜にいる/ある)
否定: 主語 不在 場所。
- 我在家。() - 私は家にいます。
- 书在桌子上。() - 本は机の上にあります。
- 他不在学校。() - 彼は学校にいません。
存在・出現の表現 (「有」と「在」の比較)
「有」と「在」はどちらも「いる/ある」と訳せますが、使い方が全く違います。これは中国語の超重要ポイントです。
“有”と“在”の決定的な違い
在 (zài):特定のモノが「どこに」あるか
[特定のモノ] 在 [場所]。 (主語が具体的)
有 (yǒu):ある場所に「何が」あるか
[場所] 有 [不特定のモノ]。 (主語が場所)
- (例1)「(その)猫は机の上にいます」→ 猫が主語。場所を尋ねている。
猫在桌子上。() - (例2)「机の上に(一匹の)猫がいます」→ 机の上が主語(場所)。存在を述べている。
桌子上有一只猫。()
「猫はどこ?」と聞かれたら「猫在〜」、「机の上に何がある?」と聞かれたら「桌子上有〜」と答えるイメージです。
存在文・出現/消滅文
上記(例2)の「[場所] 有 [モノ]」の文型を「存在文」と呼びます。
さらに、この「有」の部分を、来( - 来る)、去( - 行く)、死( - 死ぬ) などの動詞に変えると、「出現文」や「消滅文」になります。
- 出現: 前面来了一辆车。() - 前方から車が一台来た。
- 消滅: 昨天走了两个学生。() - 昨日、学生が二人(去って)辞めた。
述語の拡張(助動詞と二重目的語)
「是・在・有」以外の一般動詞を拡張する方法も学びましょう。
助動詞(〜したい、〜できる)を用いる文
「助動詞」は、動詞の前に置いて「願望」や「能力」「許可」などのニュアンスを加えます。(英語の can, want, may などに相当)
語順: 主語 + [助動詞] + 動詞 + 賓語
- 願望: 想() - 〜したい
我想去中国。() - 私は中国に行きたい。 - 能力: 会() - (学習して)〜できる
他会说汉语。() - 彼は中国語を話せる。 - 能力/許可: 能() - (状況的に/能力的に)〜できる
你能帮我吗?() - 私を手伝うことはできますか?
賓語が2つある文 (二重目的語)
「あげる」「教える」「渡す」などの一部の動詞は、目的語(賓語)を2つ取ることができます。日本語の「(人)に (モノ)を」と同じです。
語順: 主語 + 動詞 + [賓語1 (人)] + [賓語2 (モノ)]
- 他给我一本书。() - 彼は私に本を一冊くれた。
- 老师教我们汉语。() - 先生は私たちに中国語を教える。
- 他告诉我一个秘密。() - 彼は私に一つの秘密を教えた。