“憑依型”女優タン・ジュオ(譚卓)の凄みとおすすめドラマ・映画5選
中国の映像作品において、観る者に強烈なリアリティと感情を突きつける実力派女優、それがタン・ジュオ(譚卓)です。日本でも大ヒットした「瓔珞<エイラク>」の高貴妃役でその名を知った方も多いかもしれませんが、彼女の真骨頂は、社会派映画やサスペンス作品で見せる“憑依型”とも言える圧倒的な演技力にあります。
彼女が演じるのは、多くが困難な現実に直面し、もがきながらも必死に生きる女性たちです。今回は、そんなタン・ジュオの唯一無二の魅力と、彼女の凄みが光るおすすめのドラマ・映画を5作品厳選してご紹介します。
タン・ジュオのプロフィールと演技の魅力
タン・ジュオは1983年生まれ、吉林省出身。彼女の経歴は異色で、デビューはカンヌ国際映画祭で高く評価されたロウ・イエ監督の『スプリング・フィーバー』(2009年)です。以来、彼女は一貫してアート系映画や社会派作品を中心にキャリアを築き、「文芸女神(アート映画のミューズ)」と呼ばれてきました。
彼女の演技の魅力は、その「生々しさ」と「魂のリアリティ」です。役柄の背景にある痛み、悲しみ、怒り、そして愛を、セリフではなく、その息遣いや眼差し一つで表現しきります。「瓔珞」の高貴妃で見せた京劇風の派手な演技さえも、彼女の役作りへのアプローチの深さを示していますが、彼女の本領は、現代社会の片隅で生きる女性を演じることにあると言えるでしょう。
タン・ジュオ出演 おすすめドラマ・映画5選
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『薬の神じゃない!』(2018年・映画)
配信:U-NEXT , Prime Video など。2025年11月
中国で社会現象を巻き起こした大ヒット映画。タン・ジュオは、白血病の娘の治療費を稼ぐため、ポールダンサーとして働くシングルマザー、リウ・スーフェイを演じました。病気の娘を救いたい一心で主人公に薬の密輸を懇願するシーン、そして治療の継続を願って踊るポールダンスのシーンは、彼女の覚悟と母としての強さが凝縮されており、観る者の胸を打ちます。
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『コウラン伝 始皇帝の母』(2019年・ドラマ)
視聴情報:Amazonプライム、 UーNEXTなどで配信中(2025年11月現在)
「瓔珞」チームが再集結した歴史大作。「瓔珞」の高貴妃役とはまた異なる、妖艶さと冷徹な政治手腕を併せ持つ秦国の華陽(かよう)夫人を演じました。主人公たちの前に立ちはだかる強大な敵役として、その圧倒的な存在感と、野望に満ちた瞳の演技で、物語に緊張感を与えています。彼女の美しい古装姿も必見です。
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『共謀家族』(2019年・映画)
インド映画『Drishyam』のリメイク作品で、中国で大ヒットを記録したサスペンス・スリラー。タン・ジュオは、平凡な家族の母親アユーを演じます。ある事件をきっかけに、家族を守るため“共謀”し、警察と対峙することになる彼女の姿は圧巻。娘を守ろうとする母の必死の形相と、罪の意識に揺れる繊細な心理描写を見事に両立させています。
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『ブレイブ 大都市焼失』(2019年・映画)
配信:U-NEXT 、Amazonプライム など。2025年11月
実際の石油コンビナート火災事故を基にしたディザスター・パニック映画。彼女は、消防隊の隊長である夫(ホァン・シャオミン)の帰りを待つ妻であり、自身も消防のコントロールセンターで働くリー・ファンを演じました。極限状態の中で、愛する人を案じながらも職務を全うしようとする姿を熱演し、緊迫した物語の中で人間的な深みを与えています。
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『ロング・ナイト 沈黙的真相』(2020年・ドラマ)
配信:U-NEXT など。2025年11月
YouTubeで予告編を見る、YouTubeで予告編を見る、YouTubeで1話を見る
中国のレビューサイトで驚異的な高評価を獲得した傑作サスペンスドラマ。タン・ジュオは、10年にわたる巨大な謎の中心にいる女性、リー・ジンを演じました。物語は過去と現在が交錯しながら進みますが、彼女は希望に満ちた過去の姿と、すべてを失い影をまとった現在の姿を見事に演じ分け、物語の悲劇性と深みを際立たせています。
 
まとめ
タン・ジュオは、ただ役を演じるのではなく、その役の人生そのものを背負ってスクリーンに立つことができる、中国でも稀有な女優です。彼女が出演する作品は、エンターテイメントでありながら、同時に社会や人間の本質を鋭く問いかけてくるものばかりです。
ここで紹介した5作品は、彼女の多面的な魅力と、観る者の心を揺さぶる圧倒的な演技力を堪能できる傑作揃いです。ぜひ、タン・ジュオという女優の“凄み”に触れてみてください。