わかる中国語文法⑪:【介詞(前置詞)】文に「場所・時間・方向」を加える
こんにちは!「わかる中国語文法」品詞編の第11回です。(※文の成分シリーズとは別立てです)
第10回では、動詞に「〜できる」「〜したい」といったニュアンスを加える「助動詞(能願動詞)」を学びました。今回は、文に「どこで」「誰と」「〜から」「〜へ」といった具体的な情報を付け加えるための超重要品詞、「介詞 (jiècí)」を学びます。
これは英語の前置詞(in, at, from, to など)によく似た働きをしますが、中国語の介詞には、絶対にマスターしなければならない「語順の鉄則」があります。ここを制覇すれば、あなたの中国語の文は一気に具体的で豊かになります!
介詞とは?(基本ルールと語順)
介詞か、前置詞か
「介詞 (jiècí)」は、名詞や代名詞の前に置かれ、その名詞が「場所」「時間」「方向」「対象」「方法」などを表すことを示す品詞です。英語の「前置詞 (preposition)」とほぼ同じ役割なので、「中国語の前置詞」と呼ばれることもあります。
例: 在( - 〜で)、跟( - 〜と)、从( - 〜から)
介詞連語と動賓連語 (介詞の最重要ルール)
介詞は単独では使えず、必ず後ろの名詞とセットになって「介詞連語(介詞句)」というカタマリを作ります。
例: 在家( - 家で)
そして、中国語文法における介詞の「最大の鉄則」がこれです。
介詞の鉄則: 介詞連語([介詞+名詞])は、必ず**動詞の前**に置く。
語順: S + [介詞連語 (場所・時間など)] + V (動詞) + O (目的語)
日本語や英語は動詞の後ろに置きますが、中国語は「まず状況(いつ、どこで、誰と)を設定し、それから動作を言う」という語順になります。
- (例)「私は家でご飯を食べる」
OK (O): 我 [在家] 吃饭。()
NG (X): 我吃饭 [在家]。 (日本語・英語の語順) - (例)「私は彼と映画を見る」
OK (O): 我 [跟他] 看电影。()
NG (X): 我看电影 [跟他]。
介詞連語と否定副詞の位置
では、この介詞連語を否定したい場合、「不()」や「没()」はどこに置くのでしょうか?
これもルールは明確で、「動詞(述語)」を否定するのが基本です。したがって、否定副詞は**介詞連語の「前」**に置かれます。
否定の語順: S + [不 / 没] + [介詞連語] + V (動詞)
- 我不[在家]吃饭。() - 私は家でご飯を食べない。
(※`我[在]` 不 `[家]...` のように、介詞と名詞の間に `不` は入れられません) - 他没[跟我]一起来。() - 彼は私と一緒に来なかった。
※ただし、介詞「在」が動詞「いる/ある」として使われている場合は、`我不在家` (私は家にいない) のように、`在` の前に `不` が来ます。これは次で解説します。
介詞の種類(動詞と兼類するか)
介詞の中には、動詞としても使われる単語がいくつかあり、これが学習者を混乱させる原因になります。
動詞と兼類になる介詞 (要注意!)
「動詞」と「介詞」の2つの顔を持つ単語です。文中の位置によって役割が変わります。
- 在 (zài)
(動詞)我在家。() - 私は家にいる。(述語)
(介詞)我在家吃饭。() - 私は家で食べる。(動詞`吃饭`を修飾) - 给 (gěi)
(動詞)他给我一本书。() - 彼は私に本を1冊くれた。(述語)
(介詞)他给我打电话。() - 彼は私に電話をかける。(対象) - 用 (yòng)
(動詞)我用电脑。() - 私はパソコンを使う。(述語)
(介詞)我用电脑工作。() - 私はパソコンで仕事をする。(方法)
動詞と兼類にならない介詞
これらは介詞としてのみ機能し、述語にはなれません。
- 从 (cóng) - 〜から(起点)
- 离 (lí) - 〜から(隔たり)
- 向 (xiàng) - 〜に向かって(方向・対象)
- 往 (wǎng) - 〜へ(方向)
- 跟 (gēn) - 〜と(共同)
- 对 (duì) - 〜に対して(対象)
- 比 (bǐ) - 〜より(比較)
- 把 (bǎ) - 〜を(処置)
- 被 (bèi) - 〜に(受け身)
似ている介詞の使い分け
学習者が特に混乱しやすい介詞の使い分けを見てみましょう。
「~から」の使い分け:“从” vs “离”
どちらも「〜から」と訳せますが、意味が全く異なります。
- 从 (cóng):「起点 (from)」
動作の「始まりの場所・時間」を表します。
例: 我从东京来。() - 私は東京から来ました。(起点は東京)
例: 从九点开始。() - 9時から始まります。(起点は9時) - 离 (lí):「隔たり (distance)」
2地点間の「距離」や「時間」の隔たりを表します。「〜から(〜まで)」セットで使うことが多いです。
例: 学校离我家很近。() - 学校は私の家から近いです。(家との隔たりが近い)
例: 离考试还有三天。() - 試験から(試験まで)あと3日ある。(試験日との隔たり)
「(場所A)从(場所B)到(場所C)」(BからCへ) と、「(場所A)离(場所B)很远」(AとBは遠い) の違いをイメージしましょう。
「~へ」の使い分け:“朝” vs “往” vs “向”
すべて動作の「方向」を示しますが、微妙なニュアンスの違いがあります。
- 往 (wǎng):方向・目的地 (to)
最も一般的に使われる「〜へ」。「去 (qù)」や「开 (kāi)」など移動を表す動詞とよく使われます。
例: 往左拐。() - 左へ曲がる。
例: 这趟车是往北京开的。() - この列車は北京行きです。 - 向 (xiàng):方向・対象 (toward)
「〜の方向へ」というニュアンス。「往」と交換可能な場合も多いですが、「向」は「彼に学ぶ」のように抽象的な対象にも使えます。
例: 向前看。() - 前へならえ。(前の方を見る)
例: 我们要向他学习。() - 私たちは彼に学ばなければならない。(対象) - 朝 (cháo):方向 (facing)
「〜(の方)を向いて」という、向きを明確にする意味合いが強いです。顔、体、建物がどちらを向いているかを表します。
例: 他朝我笑了笑。() - 彼は私に向かってニコッと笑った。(私の方を向いて)
例: 这间房子朝南。() - この部屋は南向きだ。