わかる中国語文法⑯:修飾語マスター!「的」「地」「得」の使い分けと語順
こんにちは!全16回にわたる「わかる中国語文法」シリーズ、ついに最終回です!
これまで文の「骨格(SVO)」や「補足(補語)」を学んできました。最後を締めくくるのは、文を豊かに彩る「修飾語」です。
「私の本」「赤いリンゴ」のように名詞を飾る言葉、「ゆっくり歩く」「真面目に勉強する」のように動詞を飾る言葉。これらを使いこなす鍵が、中国語学習者を悩ませる3つの"de"、すなわち「的」「地」「得」の使い分けです。
この3つの違いをマスターすれば、あなたの中国語は一気に「伝わる」から「表現力豊か」へと進化します。それでは、最後の総仕上げと参りましょう!
連体修飾語(定語)と連用修飾語(状語) (導入)
「修飾語」とは、他の言葉を詳しく説明する成分のことです。中国語では、修飾する対象によって呼び名が変わります。
- 連体修飾語 (定语 dìngyǔ):名詞を修飾する言葉。「どんな」名詞かを説明します。
例: 红色的苹果() - 赤いリンゴ - 連用修飾語 (状语 zhuàngyǔ):動詞や形容詞を修飾する言葉。「どのように」動作するかなどを説明します。
例: 慢慢地走() - ゆっくりと歩く
そして、これらの修飾語と、修飾される言葉をつなぐ「のり」の役割を果たすのが、3つの「de」です。
連体修飾語 (定語):「的 (de)」の使い方
「的()」は、名詞を修飾する「連体修飾語」の後ろに置かれます。「〜の」「〜な」と訳されることが多いです。
基本構造: [修飾語] + 的 + [名詞]
接続成分「的」が必要な場合
形容詞、動詞、フレーズなどが名詞を修飾するときは、原則として「的」が必要です。
- 形容詞 + 的 + 名詞:
漂亮的衣服() - きれいな服 - 代名詞 + 的 + 名詞:
我的书() - 私の本 - 動詞/句 + 的 + 名詞:
我买的书() - 私が買った本 - 昨天来的人 ) - 昨日来た人
接続成分「的」が不要(または省略可)な場合
修飾語と名詞の関係が密接な場合、「的」は省略されます。
- 密接な関係(家族・所属など):
我妈妈() - 私のお母さん ( も可)
我们学校() - 私たちの学校 - 国名・地名・材料・性質:
中国人() - 中国人
木桌子() - 木の机 - 一部の単音節形容詞:
红花() - 赤い花 ( も可)
好人() - 良い人
連用修飾語 (状語):「地 (de)」の使い方
「地()」は、動詞を修飾する「連用修飾語」の後ろに置かれます。「〜に」「〜く」「〜(な様子)で」と訳され、動作の「方法・様子」を表します。
※現代中国語では、しばしば「的」で代用されますが、文法的には「地」が正しいとされています。
基本構造: [修飾語 (形容詞/句)] + 地 + [動詞]
接続成分「地」が必要な場合
形容詞やフレーズが動詞を修飾する場合、特にその「様子」を強調したいときに使います。
- 形容詞 + 地 + 動詞:
他高兴地说。() - 彼は嬉しそうに言った。 - 重ね型 + 地 + 動詞:
慢慢地走。() - ゆっくりと歩く。 - 认真地学习。 ) - 真面目に勉強する。
接続成分「地」が不要な場合
修飾語が短い場合や、時間・場所・否定などを表す場合は「地」を使いません。
- 単音節の副詞:
快走() - 早く行く
多吃() - たくさん食べる - 時間・場所・否定の副詞:
明天去() - 明日行く
在北京工作() - 北京で働く
不看() - 見ない
最終決戦:「地 (de)」 vs 「得 (de)」
中国語学習者にとって最大の混乱ポイント、「地」と「得」の違いです。これは、第14回で学んだ「状態補語」の「得」との比較です。
違いは「**語順**」と「**役割**」です。
地 (de) - 連用修飾語 (状語)
・役割: 動作の「様子・方法」を表す。(どのように〜するか)
・語順: 前に置く。 [修飾] + 地 + [動詞]
得 (de) - 状態補語
・役割: 動作の「結果・評価」を表す。(〜した結果どうだ)
・語順: 後に置く。 [動詞] + 得 + [描写]
例:「速く走る」
- 「地」を使う場合:(様子・方法)
他快快地跑。() - 彼は速く走る。(走り方を描写)
(例:急いでいる様子) - 「得」を使う場合:(結果・評価)
他跑得很快。() - 彼は走るのが速い。(走った結果の評価)
(例:彼は足が速い人だ)
例:「嬉しそうに言う」 vs 「嬉しそうに話す」
- 「地」: 他高兴地说:“...”() - 彼は嬉しそうに言った:「...」
- 「得」: 他说得很高兴。() - 彼は話す様子がとても楽しそうだ。(話した結果、楽しそうだ)