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演技の神俳優イ・ソンミンの魅力とおすすめドラマ4選|『ミセン』『財閥家の末息子』など代表作を解説

 

俳優イ・ソンミン(이성민)の魅力とおすすめ代表作ドラマ4選

韓国ドラマ界には数多くの「演技派」俳優がいますが、その中でも「演技の神」「憑依型俳優」とまで称され、別格の存在感を放つのが、俳優イ・ソンミンです。

彼は、作品ごとに全くの別人に生まれ変わります。温厚で人間味あふれる上司、冷酷非情な財閥の創業者、平凡で臆病なタクシー運転手——。その役がイ・ソンミン本人であることすら忘れさせるほどの徹底した役作りと、すべてを語る眼差しは、観る者を瞬時に物語の世界へ引き込みます。

今回は、そんなカメレオン俳優イ・ソンミンの凄みを堪能できる、必見の代表作ドラマを4つ厳選してご紹介します。

イ・ソンミンのプロフィールと演技の魅力

イ・ソンミンは1968年生まれ、慶尚北道出身。キャリアの多くを演劇の舞台で積み重ねてきた、まさに叩き上げの俳優です。彼が注目を集め始めたのは40代に入ってからと、遅咲きではありますが、その確かな演技力で瞬く間に韓国ドラマに欠かせない存在となりました。

彼の魅力は、スター然とした華やかさではなく、その役に息づく「生々しいまでの実在感」にあります。役柄の背景、癖、呼吸、そして心の奥底にある感情までもを完璧に体現し、もはや「演技」の域を超えた「その人そのもの」として画面に存在します。以前、当ブログでも紹介した『財閥家の末息子』での、60代から80代までを演じきった怪演は、その真骨頂と言えるでしょう。

イ・ソンミン出演 おすすめドラマ4選

  1. 『ミセン-未生-』(2014年)

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    イ・ソンミンの名を一躍世に知らしめた、韓国で社会現象を巻き起こした名作ヒューマンドラマです。彼が演じたのは、商社で働くオ・サンシク課長。一見気難しく口も悪いですが、誰よりも仕事に情熱を持ち、部下を家族のように守ろうとする理想の上司像は、多くの視聴者の涙を誘いました。

    くたびれたスーツ、充血した目、やり場のない怒りと葛藤。私たちが日々感じるサラリーマンの悲哀と誇りを、これ以上なくリアルに、そして温かく演じきりました。「こんな上司のもとで働きたい」と誰もが願った、彼なしでは成立しなかった伝説的な役柄です。

  2. 『財閥家の末息子~Reborn Rich~』(2022年)

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    『ミセン』とは180度異なる、彼の真骨頂が発揮された作品です。本作で彼が演じたのは、巨大財閥スニャングループを一代で築き上げた、冷酷非情な創業者チン・ヤンチョル会長。この役で、彼は百想芸術大賞のTV部門大賞(最高賞)を受賞しました。

    金への執着、誰をも信じない猜疑心、そしてすべてを見透かすような鋭い眼光。主演のソン・ジュンギを食うほどの圧倒的なカリスマ性と、老獪な怪物を演じるその気迫は、まさに「演技の神」と呼ぶにふさわしいものでした。CGによる「デエイジング(若返り)」も話題になりましたが、それ以上に彼の声色、姿勢、歩き方すべてで年齢と権力を表現した演技力に脱帽するほかありません。

  3. 『運の悪い日』(2023年)

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    平凡な市民を演じさせたら右に出る者はいない、という彼のもう一つの側面が爆発したスリラードラマです。彼が演じたのは、借金に追われる平凡なタクシー運転手オ・テク。高額のチップを提示する客を乗せたことから、悪夢のような一夜に巻き込まれます。

    その客が連続殺人鬼(ユ・ヨンソク)だと気づいてからの、オ・テクの怯え、焦り、命乞い、そして徐々に変化していく心理描写は、観ているこちらの息が詰まるほどのリアリティです。閉鎖されたタクシーという空間で、恐怖に震える「普通のおじさん」の極限状態を、繊細かつ迫真の演技で描き切りました。

  4. 『刑事ロク 最後の心理戦』シリーズ(2022年~)

    配信:ディズニープラス など。2025年10月

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    ディズニープラスオリジナルの本格クライムサスペンス。イ・ソンミンは、退職間近のベテラン刑事キム・テクロクを演じました。ある日突然、謎の脅迫犯「友」からの電話を受け、同僚殺しの容疑者として追われることになります。

    人生の酸いも甘いも噛み分けたベテラン刑事の「くたびれ感」と「燻し銀の魅力」がたまりません。疲弊しきった表情の中にも、犯人を追い詰める執念の炎を宿す。その複雑な内面を、重厚な演技で見事に表現しています。彼が持つ独特の渋さと人間臭さが、ノワールな作品の世界観に完璧にマッチしています。

まとめ

イ・ソンミンは、主役であれ脇役であれ、その作品の「格」を一段も二段も引き上げてしまう、まさに「名優」という言葉がふさわしい俳優です。彼は決して役を演じるのではなく、その役として「生きる」ことで、私たち視聴者に強烈な感動を与えてくれます。

理想の上司から、恐ろしい怪物、平凡な市民まで。彼がこれまで見せてくれた顔は、まだまだほんの一部に過ぎません。次に彼がどんな「人生」を見せてくれるのか、これからも彼の出演作から目が離せません。

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