チェン・シャオ(陳暁、1987年7月5日生まれ)は、その彫刻のように端正な顔立ちと、キャラクターの複雑な感情を“眼差し”一つで表現する、卓越した演技力で高い評価を得る中国の実力派俳優です。特に時代劇での彼は、「古装(時代劇)男神」と称されるほどの圧倒的な存在感を放ちます。 デビュー後、甘いルックスでアイドル的な人気を博しましたが、それに安住することなく、常に挑戦的な役柄を選び、見事に本格派俳優へと転身を遂げました。ここでは、彼の俳優としての歩みを語る上で欠かせない、珠玉の代表作3本を詳しくご紹介します。
1. 『後宮の涙』(2013年) - 一途な愛を貫く皇子役で、スターダムへ
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彼をトップスターの座へと一気に押し上げた、記念碑的な大ヒット作。南北朝時代を舞台に、後の宮廷で大きな運命を背負うことになるヒロイン陸貞(りくてい)の愛と成功を描いた物語です。チェン・シャオは、ヒロインと運命的な恋に落ち、生涯をかけて彼女を支え続ける、聡明で情熱的な皇子・高湛(こうたん)を演じました。
【詳しい活躍と魅力】
この役でチェン・シャオが見せたのは、まさに「完璧な皇子様」の姿でした。ヒロインの陸貞(演:チャオ・リーイン)と身分を隠して出会い、惹かれ合っていく過程での、彼の真っ直ぐで優しい眼差しは多くの視聴者を虜にしました。また、皇位継承をめぐる宮廷の陰謀に巻き込まれながらも、愛する女性と自らの信念を守り抜こうとする力強さも完璧に表現。チャオ・リーインとの圧倒的な化学反応は「史上最高のカップル」と称され、ドラマを空前の大ヒットに導きました。若さとカリスマ性、そして一途な愛を体現したこの役は、彼が「古装男神」としての地位を確立する決定的な一作となりました。
2. 『月に咲く花の如く』(2017年) - 俳優としての覚醒!やんちゃな御曹司の壮絶な成長物語
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彼がアイドル俳優から本格派俳優へと大きく飛躍を遂げた、キャリアの転換点ともいえる傑作。清朝末期の激動の時代を舞台に、天涯孤独のヒロイン・周瑩(しゅうえい、演:スン・リー)の波乱万丈な人生を描きます。彼が演じたのは、周瑩に想いを寄せる、世間知らずでやんちゃな呉服屋の御曹司・沈星移(しんせいい)です。
【詳しい活躍と魅力】
この役の真骨頂は、その壮絶な「成長」の過程にあります。物語の序盤では、親のすねをかじる放蕩息子として、ヒロインに猛アタックしてはあしらわれるコミカルな姿を見せます。しかし、彼女と出会い、時代の大きなうねりに飲み込まれる中で、彼はただの“お坊ちゃん”ではいられない、過酷な運命に直面していきます。チェン・シャオは、この長い年月をかけたキャラクターの成長曲線を、圧巻の演技で表現。特に、一途にヒロインを想い続ける、その切ない演技は観る者の涙を誘いました。やんちゃな青年から、激動の時代を生きる一人の男性へ。その振り幅の大きい難役を見事に演じきったことで、彼は俳優として新たなステージへと駆け上がりました。
3. 『夢華録(むかろく)』(2022年) - 色気と円熟味で魅せる、“大人の”ラブ史劇
視聴情報: U-NEXT、Amazonプライム、WOWOWなどで配信中(2025年8月現在)
リウ・イーフェイとの共演で、2022年を代表する大ヒットとなったロマンス時代劇。茶坊を営むたくましいヒロインたちと、彼女らを見守る秘密警察のエリート指揮官との愛と友情を描きます。チェン・シャオが演じたのは、「生き閻魔」と恐れられる冷酷非情な指揮官・顧千帆(こせんはん)です。
【詳しい活躍と魅力】
この作品で彼が見せたのは、まさに「大人の色気」でした。顧千帆は、任務のためなら手段を選ばない冷徹な男ですが、その内面には強い正義感と、ヒロイン・趙盼児(ちょうふんじ)への深い愛情を秘めています。チェン・シャオは、その代名詞である“眼差し”の演技をここで極限まで昇華させました。言葉数は少なくても、眉の動き一つ、目の光の揺らめき一つで、顧千帆の心の葛藤、嫉妬、そして溢れ出る愛情を雄弁に物語り、視聴者を釘付けに。リウ・イーフェイ演じる自立したヒロインと対等に支え合い、敬意を払う「大人の恋愛関係」は絶賛され、彼の円熟した魅力が全開に。若き皇子役で人気を博した彼が、時を経て、深みと色気を増したトップ俳優として帰還したことを高らかに宣言した傑作です。
チェン・シャオの魅力は、美しい容姿はもちろんのこと、どんな役柄にも真摯に向き合い、その人物の魂を自身の“瞳”に宿すことができる、類まれなる表現力にあります。甘いプリンスから、やんちゃな青年、そして色気あふれる指揮官まで、常に私たちを新鮮な驚きで楽しませてくれる彼は、まさに信じて観られる俳優。彼の次回作が待ち遠しくてなりません。