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【英語精読】『小公子』仮定法過去完了で読み解く家系の悲劇|if had 過去分詞の形と意味を徹底解説

【英語精読】『小公子』Vol.27:仮定法過去完了が描く「複雑な家系」の悲劇(5分解説)

「なんとなく」読む英語から、構造を「確信」して読む英語へ。今回はセドリックが「なぜ僕が卿(Lord)なの?」という謎を解き明かすシーン。仮定法過去完了を駆使した、貴族社会の厳しい継承ルールを紐解きます。

1. 今日のテキスト(音声付き)

He was obliged to hear it two or three times before he could understand it. He could not imagine what Mr. Hobbs would think of it. It began with earls: his grandpapa, whom he had never seen, was an earl; and his eldest uncle, if he had not been killed by a fall from his horse, would have been an earl, too, in time; and after his death, his other uncle would have been an earl, if he had not died suddenly, in Rome, of a fever. After that, his own papa, if he had lived, would have been an earl, but, since they all had died and only Cedric was left, it appeared that HE was to be an earl after his grandpapa's death--and for the present he was Lord Fauntleroy.

【意訳】

セドリックは、その話を理解できるようになるまで二、三度は聞かされる羽目になりました。親友のホッブスさんがこれを聞いたらどう思うか、想像もつきませんでした。話は「伯爵」から始まりました。一度も会ったことのない彼のおじいさんは伯爵でした。一番上のおじさんは、もし落馬事故で亡くなっていなければ、いずれは伯爵になっていたはずでした。彼が亡くなった後は、もう一人のおじさんが伯爵になるはずでしたが、そのおじさんもローマで熱病にかかり急死してしまいました。その次は、セドリックのパパが、もし生きていれば伯爵になるはずだったのです。けれど、みんな死んでしまい、セドリックだけが残されたので、おじいさんの死後は「彼(セドリック)」が伯爵になることになったのです。そして現在は、フォントルロイ卿というわけでした。

2. 文法・表現のロジカル解説

① 事実と異なる過去を描く「仮定法過去完了」

if + 主語 + had + 過去分詞, 主語 + would have + 過去分詞 という形が繰り返し登場します。おじさんたちやパパが「もし~だったら、~だっただろうに」という、過去に実際に起きた悲劇(死亡)とは異なる「ifの世界」を語ることで、消去法的にセドリックが唯一の継承者になった数奇な運命を際立たせています。

② 義務と不可避の "be obliged to"

be obliged to do で「~せざるを得ない」という意味です。あまりに突飛で複雑な家系の話に、賢いセドリックでさえも「何度も聞き直さなければ理解できなかった」という驚きの大きさを表現しています。

③ 強い強調の代名詞 "HE"

テキスト中で HE が大文字で書かれているのは、読み手に強く発音させるためです。「まさかこの僕が(あの嫌いなはずの)伯爵になるなんて!」という、セドリック本人の信じられないという強い心理的インパクトを表しています。

3. 語彙チェック(発音確認ボタン付き)

単語 意味 発音
Obliged ~せざるを得ない、義理がある
Earl 伯爵(イギリス貴族の称号)
In time やがて、そのうち、間に合って
Fever 熱、熱病
For the present 今のところは、さしあたり
in a fever / of a fever (現代語でのニュアンス) 19世紀の物語では「死因」としてよく登場します。当時は抗生物質がなかったため、現代なら薬で治るような「感染症(熱病)」が、あっけなく命を奪う恐ろしいものだったという歴史的背景を物語っています。 発音:

【深掘り】なぜ「おじいさん」は死んでいないのに「卿」なのか?

ここで多くの読者が混乱するのが、おじいさんが「Earl(伯爵)」として健在なのに、なぜセドリックが「Lord(卿)」と呼ばれているのかという点です。

1. 社会的・歴史的背景:儀礼称号(Courtesy Title)

イギリス貴族の世界には、非常にユニークなルールがあります。

  • 🚩 称号の「貸し出し」: 伯爵のような高い爵位を持つ人物の長男(またはその跡継ぎ)は、お父さんが生きている間、お父さんが持っている「二番目以下の称号」を名乗ることが許されます。これを儀礼称号と呼びます。
  • 🚩 フォントルロイ卿の正体: 「フォントルロイ」はドリンコート伯爵家が代々持っている副次的な称号です。セドリックは伯爵位を継ぐことが確定したため、おじいさんから「この名前を名乗ってよいぞ」と貸し出されている状態なのです。

2. 心理学的側面:セドリックの困惑と親友への思い

セドリックが真っ先に「ホッブスさんがどう思うか(what Mr. Hobbs would think)」を心配している点に注目してください。 これは、彼にとって称号や富よりも、「自分のアイデンティティを形成してきた親友との絆」が大切であることを示しています。 貴族を毛嫌いするホッブス氏の顔を思い浮かべ、自分がその「敵」の一部になってしまった矛盾に、幼い心は激しく揺れ動いているのです。 「HE was to be an earl」という強調は、彼にとってこれが「幸運」ではなく、まだ「解決すべき大問題」として映っている証拠と言えるでしょう。

追記:セドリックのパパの死因はこの小説では書かれておらず不治の病で亡くなったとなっています。長く患って徐々に弱っていって亡くなったという事です。19世紀の後半で若者が長く患って亡くなるケースとしては、肺結核がありますので、その設定だったのかもしれません。

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