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5分でわかる英語『小公子』Vol.7:neitherとIt so happenedで読み解く「天賦の才能」|イートン校コラム付

【英語精読】『小公子』Vol.7:「It so happened that」と対比表現で描く人間性(5分解説)

名作『小公子』第7回は、セドリックの父がいかに素晴らしい人物であったか、そしてその兄たちがどれほど対照的であったかが語られます。「運命」を表す構文や、二つのものを否定する「neither」の使い方をマスターしましょう。

1. 今日のテキスト(音声付き)

But it so happened that Nature had given to the youngest son gifts which she had not bestowed upon his elder brothers. He had a beautiful face and a fine, strong, graceful figure; he had a bright smile and a sweet, gay voice; he was brave and generous, and had the kindest heart in the world, and seemed to have the power to make every one love him. And it was not so with his elder brothers; neither of them was handsome, or very kind, or clever. When they were boys at Eton, they were not popular; when they were at college, they cared nothing for study, and wasted both time and money, and made few real friends.

【意訳】

しかし、たまたま「自然の女神」は、上の兄たちには授けなかった才能を、末っ子のエロール大尉に与えていました。彼は端正な顔立ちと、立派で逞しく優雅な体格の持ち主でした。明るい微笑みと甘く朗らかな声をもち、勇敢で気前がよく、世界一優しい心を持っていました。彼は会う人すべてに愛される不思議な力を持っているようでした。ところが、兄たちは全く違いました。二人とも容姿に恵まれず、優しくもなく、賢くもありませんでした。彼らはイートン校の生徒だった頃から人気がなく、大学に入っても勉強には目もくれず、時間とお金を浪費し、本当の友人はほとんど作ることができませんでした。

2. 文法・表現のロジカル解説

① 偶然の重なり "It so happened that..."

It (so) happened that... で「たまたま……ということになった」という構文です。ここでは、兄たちと違って末っ子の父だけが素晴らしく育ったことを、「運命のいたずら」のようなニュアンスで表現しています。

② 二者への全否定 "neither of them"

neither of (二つのうちのどちらも〜ない) です。二人いた兄の「どちらも」ダメだった、という厳しい対比を強調しています。三人以上なら `none of` を使いますが、ここでは兄が二人なので `neither` が適切です。

③ 強い無関心 "cared nothing for"

`not care about` よりもさらに強く、「微塵も興味がなかった」というニュアンスです。特権階級にありながら、学ぶべき時に学ばず放蕩にふけっていた兄たちの不実さを際立たせています。

3. 語彙チェック(発音確認ボタン付き)

単語 意味 発音
bestowed upon (神や自然が)〜を授ける
figure 姿、体格、スタイル
gay (古風な表現で)陽気な、朗らかな
generous 寛大な、気前のよい
few (冠詞なしで)ほとんど……ない

🇬🇧 英国のエリート養成所:イートン校 (Eton College)

本文に登場するイートン校(Eton College)は、1440年に国王ヘンリー6世によって創立された、英国で最も権威のある男子全寮制パブリックスクールです。

歴史と特徴

どんな生徒が通うのか?

かつては英国の貴族や富裕層の息子たちが通う「支配階級の揺りかご」でした。現在でも非常に高い学力と高額な学費が必要なエリート校ですが、奨学金制度も充実しています。本作の兄たちの描写にあるように、当時の貴族の子弟にとって「イートン校から大学へ」という道は成功への約束手形でしたが、彼らはその特権を無駄にしてしまったというわけです。