「チェーンソー」が貧困を救う?
アルゼンチン、貧困率急減のパラドックス
ハビエル・ミレイ大統領が掲げた「チェーンソー政策」。国家の歳出を根こそぎカットするその手法は、当初「弱者切り捨て」と猛批判を浴びました。しかし、2026年1月現在の統計は、その批判を沈黙させる驚くべき結果を示しています。
1. ブエノスアイレス市における「統計の奇跡」
最も劇的な変化が見られたのは、首都ブエノスアイレス市(CABA)です。2025年第3四半期のデータによると、貧困率は1年前の28.1%から17.3%へと大幅に低下しました。
貧困率(CABA) 28.1% → 17.3%
極貧率(CABA) 11.0% → 5.3%
特筆すべきは、子供の貧困率が42.6%から27.1%へと15ポイント以上低下したことです。これは、ミレイ政権がインフレを沈静化させたことで、現金給付(AUH)の実質的な購買力が守られた結果だと分析されています。
【深掘り】ミレイ政権が断行した「チェーンソー政策」の具体的内容
ミレイ大統領は就任直後から、国家の肥大化した構造を「チェーンソー」で切り落とすかのように削減しました。
1. 行政組織のスリム化
- 省庁の半減: 18省を9つに統合。
- 公務員の削減: 約53,000人以上の契約非更新・削減。
- 政府系メディアの閉鎖: 国営通信社Telam等の解体。
2. 「インフレ抑制」こそ最強の貧困対策
なぜ、補助金を削りながら貧困が減るのか?その答えは「通貨の安定」にあります。
「バラマキのために通貨を刷り、インフレを招くことこそが、最も残酷な貧困層への課税である」
月率25%を超えていたインフレが1%台まで落ち着いたことで、国民の賃金上昇が物価高を上回り、多くの世帯が統計上の貧困ラインを脱却しました。
3. 「左派のパニック」と政治勢力の消滅
この成功を前に、かつての最大勢力である中道左派「ペロニスタ」は存亡の危機に瀕しています。
左派勢力は、自らが聖域化してきた官僚機構が、国民の目には「腐敗の温床」と映っていたという現実に直面し、有効な対抗策を見出せていません。
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