月影

日々の雑感

【漢文】返り点の実戦問題集|白文を読み解くロジックと優先順位を徹底解説

 

返り点マスターへの道:追加30問ドリル

基本から難問、そして逆引き問題まで。これらを解き終える頃には、白文がスラスラと読めるようになっているはずです。

【第3部】標準:頻出パターン(問11〜20)

問 11
答えとロジックを表示
正解:山に登る。
「登」にレ点。目的語の「山」を読んでから戻ります。
問 12
友人
答え$ロジック
正解:友人有り。
2文字の熟語「友人」をひと塊として読み、その後「有」へ。
問 13
答え$ロジック
正解:書を読まず。
一・二点。読み順は「書→読→不」。否定の「不」は最後に。
問 14
答え$ロジック
正解:詩を読むを好む。
一番下の「詩」から上に順に戻っていきます。
問 15
其利
答え$ロジック
正解:其(そ)の利を求む。
「其利」を先に読みます。「其」は指示語なので「利」とセットです。
問 16
答えとロジックを表示
正解:京より帰る。
【ロジック:助詞のひらがな化】
1. レ点の動き:まず下の「京」を読み、レ点で戻って「自(より)」を読みます。
2. 一二点の動き:「自レ京」という塊(一点)を読み終えたので、二点の「帰(る)」に戻ります。
3. 書き分けのルール:「自」は起点(〜より)を表す助詞として働いているため、書き下し文ではひらがなで「より」と書きます。
問 17
答え$ロジック
正解:名を求めんと欲す。
「名」→「求」→「欲」の順。下から上へスライド。
問 18 【助動詞:可能】能レ成レ事
正解とロジックを表示
正解:事を成すあたふ。
【ロジック:連続レ点】
1. レ点が連続しているため、一番下の「事」から順に「成」→「能」と階段を上がるように戻ります。
2. 能:ここでは「〜できる」という可能の助動詞(あたふ)として使われているため、書き下し文ではひらがなで書きます。

※「能」は再読文字ではないので、1度だけ読めばOKです!
問 19
其子
答え$ロジック
正解:其の子を見る。
「其子」を一気に読み、上の「見」に戻ります。
問 20
父母
答え$ロジック
正解:父母を思ふ。
「父母」を読んでから一・二点で「思」へ。

【第4部】逆引き:読みから返り点を選ぶ(問21〜30)

※提示された読みになるように、白文にどの返り点を打つべきか考えてください。

問 21 「月を見る。」にするには?
見 月
答えを表示
正解:見
1字戻るだけなので「レ点」を使います。
問 22 「水を飲む。」にするには?
飲 水
答えを表示
正解:飲
問21と同じ構造です。目的語が下にある場合はレ点。
問 23 「先生に問ふ。」にするには?
問 於 師
答えを表示
正解:問
【ロジック:逆引きのポイント】
1. 語順の逆転:「師(名詞)→ に(助詞)」の順にするため、於レ師とレ点を打ちます。
2. 大きな戻り:「師に(於レ師)」という塊を読み終えてから「問ふ」に戻る必要があるため、跨ぐ範囲に一・二点を置きます。
3. 置き字のルール:「於」は機能語(置き字)です。返り点は打ちますが、書き下し文では漢字を消し、ひらがなの送り仮名「に」として処理します。
問 24 「花を見ず。」にするには?
不 見 花
答えを表示
正解:不
【ロジック:連続レ点の活用】
1. 読み順の設計:「花(目的語)」→「見(動詞)」→「不(助動詞)」の順にする必要があります。
2. 符号の配置:一番下の「花」から「見」へ戻るために見にレ点を、さらに「見」から「不」へ戻るために不にレ点を打ちます。
3. ひらがな直しの確認:「不」は助動詞なので、書き下し文では「ず」とひらがなで書きます。
問 25 「学び難(がた)し。」にするには?
難 学
答えを表示
正解:難
1字下を読んでから戻るのでレ点。
問 26 「書を読みて字を書く。」にするには?
読 書 書 字
答えを表示
正解:読書書
それぞれの動作(読む・書く)に対して目的語が下にあるため、レ点を2箇所に打ちます。
問 27 「人をして来たらしむ。」(使役)にするには?
使 人 来
答えを表示
正解:使人来
「人来」を先に読み、最後に「使(しむ)」へ戻ります。
問 28 「死を畏(おそ)れず。」にするには?
不 畏 死
答えを表示
正解:不
【ロジック:連続レ点による逆転】
1. 読み順の設計:「死(1)」→「畏(2)」→「不(3)」と、下から順に読み上げます。
2. 符号の配置:問24と同じく、1字ずつ遡る場合はレ点を連続させるのが最もシンプルです。
3. ひらがな直しの確認:否定の「不」は助動詞なので、書き下し文では「ず」とひらがなで書きます。
問 29 「天を仰ぐ。」にするには?
仰 天
答えを表示
正解:仰
基本のレ点です。
問 30 「善を為(な)さんと欲す。」にするには?
答えを表示
正解:欲
【ロジック:3文字の連続逆転】
1. 読み順の設計:「善(1)」→「為(2)」→「欲(3)」の順に、下から一段ずつ上がります。
2. 符号の配置:問24、問28と同様、一字ずつ遡る場合はレ点を連続させるのが最もシンプルで間違いのない形です。
3. 助動詞の意識:「欲す(ほっす)」は「〜したい」という意志・希望を表す働きをします。

【第5部】難問:複雑な組み合わせ(問31〜40)

問 31 【二重否定】敢へて〜ずんばあらず
二レ
答えとロジックを表示
正解:敢(あ)へて告(つ)げずんばあらず。
【ロジック:二重否定は強い肯定】
1. 返り点:「告(1)」→「不(2)」→「敢(3)」の順に戻ります。不に「二レ」がついているため、レ点で戻った後、さらに「敢」へ飛びます。
2. 意味:「告げない(不)わけではない(不)」となり、結果として「どうしても告げる」という強い肯定の意味になります。
3. ひらがな直し:否定の助動詞「不」が重なるこの句法では、どちらの「不」もひらがなで書き下します。
問 32 【再読文字】宜しく〜べし
二レ
答えとロジックを表示
正解:宜(よろ)しく賞を加(くは)ふべし。
【ロジック:再読文字のひらがなルール】
1. 読み順:まず「宜(よろしく)」と読み、次に「賞(1)」→「加(2)」と読み、最後に返り点で戻って「宜(べし)」と2回目を読みます。
2. 意味:「賞を与えるのがふさわしい(当然だ)」という意味になります。
3. ひらがな直し:「宜」の2回目の読み「〜べし」は、当然・適当を表す助動詞(機能語)なので、書き下し文では必ずひらがなで書きます。
問 33 【逆接の助詞】才有りと雖も
答えとロジックを表示
正解:才有(あ)りと雖(いへど)も。
【ロジック:連続レ点の活用】
1. 読み順:レ点が連続しているため、一番下の「才(1)」から順に「有(2)」→「雖(3)」と階段を上がるように戻ります。
2. 意味:「才能があるけれども」という逆接を表します。
3. 機能語のポイント:「雖(いへど)も」は文と文をつなぐ接続の役割(機能語)を果たします。教科書では漢字を残すことが多いですが、送り仮名の「ども」などは必ずひらがなで書きます。
問 34 【最重要:部分否定】未必
必 然
答えとロジックを表示
正解:未(いま)だ必ずしも然(しか)らず。
【ロジック:1・2・3・戻る!】
視線を「上から下へ」流すだけでOKの、一番素直な形です。必ずしもそうであるとは限らないの意味です。
① まず一番上の「未」を「いまだ」と読みます。
② そのまま下の「必(必ずしも)」、「然(しから)」を順に読みます。
③ 最後に「一点」から「二点」へ戻り、一番上の「未」を「ず」と読みます。

※ポイント:「否定」が「必ず」を包み込むこの読み順が、「100%ではない(部分否定)」という合図になります!
問 35 【意図の重なり】
且 帰
答えとロジックを表示
正解:且(か)つ帰(かへ)らんと欲(ほ)す。
【ロジック解説】
1. 且:副詞なので、返り点に関係なく上から「かつ」と読みます。
2. レ点の動き:「欲」を飛ばして「帰(らんと)」を読み、レ点で戻って「欲(す)」と読みます。
3. ひらがな直し:「欲す」は意志や希望を表す助動詞(機能語)のため、ひらがなで書くのが一般的です。
4. 意味:さらに(その上)、帰ろうと思っている
問 36
答え$ロジック
正解:書を読む毎(ごと)に。
「書」→「読」→「毎」。動作を修飾する「毎」を最後に処理します。
問 37 【難問:使役と目的語】
使人 見上レ
答えとロジックを表示
正解:人をして之(これ)を見せしむ。
【ロジック:返り点の優先順位】
1. レ点 > 上下点:まず一番下の「之」からレ点で「見」に戻ります。
2. 上 → 下:「見」のブロックを読み終えたら、最後は大きく「使」まで戻ります。
上中下点は、このように一二点やレ点では届かない「大きなジャンプ」が必要な時に使われる最強の点です!
問 38 【複合:一二点 + レ点】
之 言
答えとロジックを表示
正解:之(これ)と言(ことば)を交(か)はしがたし
【ロジック:入れ子構造の攻略】
1. レ点:「之」から「与(と)」に戻る小さな動きを作ります。
2. 一二点:「之と」+「言」という塊を読み終えてから、一番上の「難(がたし)」に戻ります。
3. ひらがな直し:「与(と)」は助詞、「難(がたし)」はここでは補助的な助動詞的な働きのため、ひらがなで書き下すのが親切な表記です。
4.【なぜ「交はし」と読むの?】
実は「交」という漢字は本文にありません。しかし、「与(〜と)」と「言(ことば)」が並ぶと、日本語では自然に「言葉を交わす」という意味で解釈する慣習があります。これを「意味を補って読む」と言います。

※もしテストで「漢字の通りに読め」と言われたら、シンプルに「之と言(い)ひ難し」と書くのが安全です。
問 39
二上其意
答えとロジックを表示
正解:其の意を致す能(あた)はず。(自分の考え(思い)を十分に尽くすことができない)
【ロジック:入れ子構造のマスター】
1. スタート:何もついていない一番下の「其意(そのい)」から読み始めます。
2. 一段上のジャンプ:「其意」から一つ上の「致(いたす)」に戻ります。ここに最初の「一点」を置きます。
3. 二段目のジャンプ:一点(致)を読んだので、「二点」がある「能(あた)」に戻ります。
4. 最強のジャンプ:「能」には「上点」もついています。「一二点」のブロックを読み終えたので、最後に「下点」がある「不(はず)」に戻ります。

※ポイント:「甲乙点」は「上下点」でも足りない時に使う最終兵器です。この文なら「上下点」で書くのが最もスマートです!
問 40 【最難関:二重否定】
一レ
答えとロジックを表示
正解:道を知らざるに非(あら)ず。
【最後のロジック:パズルの集大成】
1. 連続レ点:まず一番下の「道」から「知」→「不」へと一段ずつ階段を上ります。
2. 一二点:「道を知らざる」という大きな塊を読み終えたところで、一番上の「非」へと大ジャンプします。
3. 意味:「道を知らないわけではない」=「当然、道を知っている」という強い肯定(二重否定)を表します。

お疲れ様でした!計40問のドリルを完遂しました。
返り点は「パズル」です。優先順位さえ守れば、どれほど複雑な文章も必ず解けます。
自信がついたら、今度は実際の漢詩や名言を白文で読んでみましょう!

www.namuamidabu.com