第3回:国家の代償
財源・憲法、そして私たちの未来
「強い日本」を作るには、莫大なお金と、国の形を変える決断が必要だ。増税か、社会保障削減か。そして憲法改正の行方は? 私たちが突きつけられた「選択」で連載を締めくくる。
1. 「身を切る改革」でミサイルは買えるか
第1回、第2回で見てきた通り、新政権は「積極防衛」と「サイバー監視」という強力なシステムを導入しようとしています。しかし、最大の問題は「そのカネを誰が払うのか」です。
ここで、自民党と維新の会のイデオロギーが激しく衝突しました。
結果として採用されたのは、維新主導の「聖域なき歳出削減」路線です。防衛費を増やす代わりに、高齢者の医療費窓口負担の見直し(原則3割化など)や、病床削減といった社会保障改革が断行されます。
これは、「現役世代の負担を減らし、国家の守りを固める」という方針ですが、高齢層や医療現場からの猛反発は必至であり、政権にとっては「有権者を敵に回す」リスクの高い賭けとなります。
2. 2026-2027 改憲ロードマップ:9条だけではない「セット戦略」
憲法改正において最も注目されるのは9条ですが、新政権はこれを単独で提案する愚は犯しません。「戦争反対」の世論だけで否決されるリスクがあるからです。
そこで採用されるのが、国民受けの良い政策とセットにする「抱き合わせ(パッケージ)戦略」です。維新は「教育無償化」を、自民は「緊急事態条項」と「9条」を持ち寄り、互いの支持層を固める作戦に出ています。
このバーター取引により、若者や子育て世代には「教育のための改憲」、保守層には「国を守るための改憲」としてアピールし、過半数の獲得を狙うシナリオです。2026年からは、以下のスケジュールで一気に動きます。
3. 国際情勢と「普通の国」への試練
日本が「普通の国(自分の国を自分で守れる軍事力を持つ国)」になろうとするとき、周辺国は黙っていません。
中国は日本の「領域警備法」や「積極防衛」を「戦後秩序への挑戦」と捉え、尖閣周辺での挑発行動を激化させるでしょう。北朝鮮もミサイル実験の頻度を上げる可能性があります。
しかし、新政権のスタンスは明確です。「波風を立てないための沈黙は、もはや平和を守れない」。摩擦を恐れず、抑止力を構築することが、長期的には地域の安定につながるという信念です。