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【徹底検証】ロシア軍vs自衛隊。北海道侵攻は実現可能だったか?戦力比較と兵站の壁【第2回】

 

Special Report / Geopolitics

【徹底検証】ロシア軍 vs 自衛隊&米軍 ── もし北海道侵攻が実行されていたら、勝敗はどうなっていたか?【第2回】

投稿日:2025年12月26日

第1回では、FSB内部告発文書が示す「ロシアの北海道侵攻の意図」について解説しました。しかし、軍事の世界には冷厳な鉄則があります。

「意図(Intent)があっても、能力(Capability)がなければ実行できない」

ウクライナ侵攻で「世界第2位の軍事大国」のメッキが剥がれたロシア軍に、果たして北海道を攻略する力はあったのでしょうか? 結論から言えば、それは「自殺行為に近い無謀な作戦」に終わっていた可能性が高いのです。今回はその理由を軍事シミュレーションで解き明かします。

陸上自衛隊90式戦車(gemini作図)



最大の障壁:「海」という名の絶望

ウクライナ侵攻と北海道侵攻の決定的な違い。それは「国境」です。

ウクライナは陸続きであるため、ロシア軍は戦車やトラックを直接乗り入れることができました。しかし、北海道に攻め込むには、荒れる日本海オホーツク海を越える「水陸両用作戦」が必須です。

  • 輸送能力の欠如: ロシア太平洋艦隊の揚陸艦(戦車などを運ぶ船)の数は限られています。数万人の兵士を一気に北海道の海岸に送り込む能力はありません。
  • 制空権・制海権 輸送船団は、海上で格好の「的」です。航空自衛隊F-35F-15海上自衛隊の潜水艦が守る海域を、無傷で渡り切ることは不可能です。

北の守護神:陸上自衛隊「第7師団」の実力

仮に、ロシア軍の一部が北海道のどこかに上陸できたとしましょう。そこで待ち受けているのは、日本最強の機甲部隊です。

戦力比較:北海道正面の防衛力

比較項目 🇷🇺 ロシア侵攻軍(想定) 🇯🇵 陸自 北部方面隊
主力戦車 T-72 / T-80
旧式化が進む。ウクライナでは対戦車ミサイルの餌食に。
90式 / 10式戦車
世界トップクラスの性能。第7師団(千歳)に集中配備。
兵站(補給) 極めて脆弱
海を越えて燃料・弾薬を継続補給するのは困難。
優位
ホームグラウンドであり、道内の補給網を熟知。
士気・練度 疑問
動員兵の練度不足が露呈。
極めて高い
冷戦期より対ソ・対ロ戦を想定して訓練を継続。

ウクライナの平原で立ち往生したロシア軍戦車部隊の姿を思い出してください。北海道の複雑な地形と、陸自の精強な対戦車火力の前では、上陸部隊は孤立し、各個撃破される運命にあります。

究極の抑止力:「日米安保 第5条」

そして、ロシアにとって最大の悪夢は、背後に控えるアメリカ軍の存在です。

ウクライナNATO加盟国ではなかったため、米軍は直接介入しませんでした。しかし、日本は違います。北海道への武力攻撃は、自動的に「世界最強の軍隊との戦争」を意味します。

シミュレーションの結論 ロシアが北海道本島を大規模に侵攻・占領することは、軍事的・兵站的に「不可能」に近い。実行すれば、太平洋艦隊は壊滅し、プーチン政権そのものが崩壊するリスクがある。

では、彼らは何をしようとしていたのか?

「全面侵攻が無理」だとすれば、FSB文書にあった「戦争の準備」とは何だったのでしょうか?

恐らく計画されていたのは、正規軍による全面戦争ではなく、「ハイブリッド戦争」です。

これらを通じて日本を揺さぶり、有利な条件を引き出す――それこそが現実的なシナリオだったのです。

【次回、最終回】

侵攻は幻に終わった。しかし、脅威は消えたわけではない。

1945年のスターリンによる「北海道分割案」の亡霊と、現在進行系で進む「北方領土の要塞化」。
なぜ日本は防衛費を増額したのか? 全ての謎がつながる完結編。

第3回「歴史の亡霊と日本の未来」を読む →

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