涙が出ないだけじゃない?
水さらし不要の「スマイルボール」が変える食卓と栄養の常識
カレーやハンバーグを作る時、避けて通れないのが「玉ねぎのみじん切り」。ゴーグルをしたり、冷蔵庫で冷やしたり、あらゆる民間療法を試しても、結局涙が止まらない……そんな経験はありませんか?
実は今、そんな悩みを科学の力で解決した夢のような玉ねぎが存在します。その名も、ハウス食品が開発した「スマイルボール」。
今回は、単に「泣かない」だけではない、この玉ねぎが持つ驚きの「甘さ」と「栄養メリット」についてご紹介します。
1. 辛くないから「水さらし」がいらない!
スマイルボール最大の特徴は、切っても涙が出ないことですが、それと同じくらい衝撃的なのが「生で食べても辛くない」という点です。
通常の玉ねぎには独特の辛味(ピリッとした刺激)があるため、サラダにする際は水にさらして辛味を抜くのが一般的です。しかし、スマイルボールはそもそも辛味成分が発生しにくい性質を持っているため、切ってそのまま食べることができます。
スマイルボールのすごいところ
- 包丁で切っても、目にしみる成分(ガス)が出ない。
- 水にさらさなくても、辛味がなく甘みを感じる。
- 肉厚で柔らかく、シャキシャキした食感が楽しめる。
2. 栄養を逃さず「まるごと」摂取できる
「水にさらさなくていい」というのは、単に調理の手間が省けるだけではありません。実は、栄養面で非常に大きなメリットがあるのです。
従来の玉ねぎの処理方法では、辛味を抜くために水にさらす工程で、以下のような重要な栄養素が水に溶け出してしまっていました。
スマイルボールなら、これらを流出させることなく、玉ねぎが持つ本来の栄養を100%体に摂り入れることができます。「時短」と「健康」が同時に叶う、まさに現代人のための野菜と言えるでしょう。
3. イグ・ノーベル賞を受賞した「真面目な」研究
このスマイルボール、実は開発の過程で「イグ・ノーベル賞(化学賞)」を受賞しています。この賞は「人々を笑わせ、そして考えさせる研究」に贈られる世界的な賞です。(科学雑誌の最高権威であるNature誌にも掲載されました。)
受賞理由は「タマネギを切ると涙が出る仕組みの、真実を解明したこと」。
かつては「自然に涙が出る成分ができる」と思われていましたが、ハウス食品の研究チームは「涙を出させる専用の酵素(LFS)」が存在することを発見しました。
「そんな酵素があるなら、それを働かなくすればいいじゃないか」という逆転の発想が、スマイルボール誕生のきっかけとなったのです。
カレーのハウス食品が、20年以上の歳月をかけて、大学や国の研究機関と協力して作り上げたこの玉ねぎ。見かけたらぜひ一度、生のままかじってみてください。その甘さと、「本当に泣かない!」という感動は、きっと誰かに話したくなるはずです。開発秘話は次の記事をご覧ください。