【大人の学び直し英語】There is 構文だけじゃない!「It」の特別な使い方完全整理
英語学習において、it といえば「それ」という代名詞(既出のペンや本を指す言葉)だと最初に習います。しかし、ニュースや日常会話を聞いていると、「それ」と訳すと意味が通じない it が頻繁に登場することに気づくはずです。
これらは文法的に「非人称のit」や「仮主語のit」と呼ばれ、英語の文構造を支える非常に重要な役割を果たしています。今回は、主語を明確にしにくい状況や、頭でっかちな文を避けるために使われる「訳さないit」の使い方を、時制の変化も交えて詳しく解説します。
1. 天候・時間・状況を表す「非人称のit」
英語は基本的に「主語+動詞」が必要です。しかし、「暑い」「今5時だ」「暗い」といった文には、動作を行う特定の主語がいません。そんな時に、便宜上置かれる主語が it です。日本語には訳しません。
① 天気・天候
天気の話は現在形だけでなく、過去や現在完了など様々な時制で使われます。
It is sunny today.
(今日は晴れです。)
It was raining heavily yesterday.
(昨日は激しく雨が降っていました。)
※過去進行形の例です。
It has been cold since last week.
(先週からずっと寒いです。)
※「ずっと~だ」という継続を表す現在完了形の例です。
② 時間・日付・曜日
It is ten o'clock now.
(今、10時です。)
It was Monday yesterday.
(昨日は月曜日でした。)
③ 距離・明暗
It is about 5 kilometers to the airport.
(空港までは約5キロあります。)
It is getting dark outside.
(外は暗くなってきています。)
【重要】時間・お金がかかる時の It takes / It costs
この表現は会話で非常によく使いますが、これも「非人称のit」の一種です。
- 時間:It takes + 時間 + to ...
It takes 20 minutes to get there.
(そこへ着くのに20分かかります。)
It will take a long time to finish this project.
(このプロジェクトを終えるには長い時間がかかるでしょう。) - お金:It costs + 金額 + to ...
It cost 100 dollars to repair my PC.
(パソコンを修理するのに100ドルかかりました。)
※costは過去形もcostです。
2. 文のバランスを整える「仮主語のit」
英語では、主語が長くなりすぎると「頭でっかち」でバランスが悪いと嫌われます。そこで、とりあえず形式的な主語 It を先頭に置き、本当の主語(真主語)を後ろに回すテクニックを使います。
パターンA:It is 形容詞 to 不定詞
「~することは…だ」という構文です。to... 以下が本当の主語です。
It is important to study English every day.
(英語を毎日勉強することは重要です。)
本来の文: To study English every day is important.
It was difficult to find his house.
(彼の家を見つけるのは難しかった。)
※過去形になっても構造は同じです。
「誰にとって」かを示す場合 (for + 人)
It is necessary for you to take a rest.
(あなたが休息をとることは必要です。)
パターンB:It is ... that節
「~ということは…だ」と、文章(that節)を主語にする場合に使います。
It is true that he is an engineer.
(彼がエンジニアであるというのは本当です。)
It is said that Japanese food is healthy.
(日本食は健康的だと言われています。)
※ニュースなどで頻出する受動態の表現です。
3. 応用:仮目的語のit(SVOC文型)
主語だけでなく、目的語が長くなる場合(SVOC文型)も it を身代わりとして置くことがあります。
I found it difficult to finish the book.
(私はその本を読み終えるのは難しいとわかった。)
I think it impossible for him to come.
(彼が来るのは不可能だと私は思う。)
4. 【重要】間違えやすい例外「強調構文」
形は「仮主語のit」に似ていますが、全く別の働きをするのが「強調構文」です。特定の言葉を「まさにこれだ!」と強調したい時に使います。
基本形: It is [強調したい言葉] that [残りの文]
元の文: My brother broke the window yesterday.
(私の弟が昨日窓を割った。)
「弟」を強調する場合:
It was my brother that broke the window yesterday.
(昨日窓を割ったのは、まさに私の弟でした。)
どうやって見分ける?
It is (was) と that を取り除いて文が成立するかどうかで見分けます。
- 強調構文:取り除いても文が通じる。
(My brother broke the window yesterday. → 〇) - 仮主語構文:取り除くと文が壊れる。
(It is important that... → Important that...?? → ×)
まとめ
| 用法 | 役割 | 例文 |
|---|---|---|
| 非人称の it | 天気・時間・距離・状況を表す(主語なし) | It is raining now. It takes 10 minutes. |
| 仮主語の it | 長い主語 (to不定詞 / that節) の代用 | It is fun to travel. It is said that... |
| 仮目的語の it | 長い目的語の代用 (SVOC) | I found it easy to use. |
| 強調構文 (例外) |
特定の語句を強調するサンドイッチ構造 | It was Tom that called me. |
「It」が出てきたら、すぐに「それ」と訳さず、後ろに to... や that... が隠れていないか、あるいは天気や時間を表していないかを確認する癖をつけましょう。これにより、リーディングの速度と正確さが格段に上がります。