わかる中国語文法⑬:最難関「補語」① "結果・方向・可能"補語を徹底攻略
こんにちは!中国語文法シリーズ、いよいよ第13回です。
第12回では、中国語の3大特殊構文「把」「被」「比」を学びました。基本的な文型はほぼマスターできたと言えるでしょう。
しかし!中国語学習には、多くの人が「最大の壁」と感じるラスボスが存在します。それが今回から数回に分けて攻略する「補語 (补语 bǔyǔ)」です。
「補語」とは、動詞や形容詞の後ろにくっついて、その動作や状態をより詳しく補足説明する成分のこと。「見終わる」「入ってくる」「聞き取れる」など、日本語でも似たような表現がありますが、中国語では種類が非常に多く、使い方も複雑です。
今回はまず、補語の中でも特に重要な「結果補語」「方向補語」「可能補語」の3つに絞って徹底解説します。ここを乗り越えれば、あなたの中国語は飛躍的にレベルアップします!
083 補語とは何か? (導入)
「補語 (补语 )」は、動詞や形容詞の後ろに置かれ、その意味を補足する成分です。具体的には、動作の「結果」「方向」「可能かどうか」「程度」「状態」「回数」「時間」などを表します。
語順: S + V (動詞) / Adj (形容詞) + [補語]
※目的語(O)がある場合の語順は、補語の種類によって変わるので注意が必要です。
中国語には主に以下の種類の補語があります。
- 結果補語 (今回)
- 方向補語 (今回)
- 可能補語 (今回)
- 程度補語 (次回)
- 状態補語 (次回)
- 数量補語 (時間量・動作量) (次々回)
今回は、特に基本的な「結果」「方向」「可能」の3つを見ていきましょう。
結果補語 (动作の結果)
「結果補語 (结果补语 )」は、動詞の後ろについて、その動作を行った「結果」どうなったかを表します。「〜し終わる」「〜し間違える」など。
結果補語には、別の動詞や形容詞が使われます。
構造: V (動詞) + [結果補語 (動詞/形容詞)]
よく使われる結果補語
- 完() - 〜し終わる
例: 我看完了这本书。() - 私はこの本を読み終えた。 - 懂() - (聞いて/見て)〜理解する
例: 你听懂了吗?() - あなたは(聞いて)理解できましたか? - 见() - (見て/聞いて)〜気づく、〜知覚する
例: 我看见他了。() - 私は彼を見かけた。 - 到() - (探して/買って)〜目的を達成する
例: 我找到了我的手机。() - 私は自分の携帯を見つけた。 - 好() - 〜し終える、〜準備が整う
例: 饭做好了。() - ご飯ができた。 - 错() - 〜し間違える
例: 对不起,我说错了。() - すみません、言い間違えました。
※(085) 介詞(前置詞)と一緒に使うこともありますが、まずは基本形を覚えましょう。
方向補語 (动作の方向)
「方向補語 (方向补语 )」は、動詞の後ろについて、動作の「方向」を表します。「入ってくる」「上がっていく」など。
方向補語には、「単純方向補語」と、それを組み合わせた「複合方向補語」があります。
1. 単純方向補語
「来()」(近づく方向)と「去()」(遠ざかる方向)の2つです。
構造: V (動作動詞) + 来 / 去
- 他进来了。() - 彼が入ってきた。(話者の方へ)
- 他进去了。() - 彼が入っていった。(話者から離れて)
- 请上来。() - 上がってきてください。
- 请上去。() - 上がっていってください。
2. 複合方向補語
「上( - 上がる)」「下( - 下りる)」「进( - 入る)」「出( - 出る)」「回( - 戻る)」「过( - 通り過ぎる)」「起( - 起き上がる)」といった方向を示す動詞に、「来」または「去」を組み合わせたものです。
構造: V (動作動詞) + [方向動詞] + 来 / 去
- 他走进来了。() - 彼は歩いて入ってきた。
- 他跑上去了。() - 彼は走って上がっていった。
- 请拿出你的护照来。() - あなたのパスポートを取り出してください。(目的語が場所でない場合、`来/去` は目的語の後ろ)
- 他走过马路去了。() - 彼は道を歩いて渡っていった。(目的語が場所の場合、`来/去` は目的語の後ろ)
3. 方向補語の派生義
方向補語は、物理的な方向だけでなく、比喩的な意味(派生義)で使われることも非常に多いです。これは少し高度ですが、よく使われるものをいくつか紹介します。
- 起来():〜し始める、〜してみると
例: 他笑起来了。() - 彼は笑い出した。
例: 这个菜看起来很好吃。() - この料理は美味しそうだ。 - 下去():〜し続ける
例: 请你说下去。() - どうぞ話し続けてください。 - 出来():〜(隠れていたものが)現れる、〜見分ける
例: 我想出来一个好办法。() - 私は良い方法を思いついた。
例:我听出来了他的声音。() - 私は彼の声を聞き分けられた。
可能補語 (动作の可能・不可能)
「可能補語 (可能补语 )」は、その動作が「〜できる」のか「〜できない」のか、実現の可能性を表します。「聞き取れる/聞き取れない」「入りきれる/入りきれない」など。
これは、基本的に「結果補語」と「方向補語」を応用して作られます。
肯定形: V (動詞) + 得() + [結果補語 / 方向補語] (〜できる)
否定形: V (動詞) + 不() + [結果補語 / 方向補語] (〜できない)
1. 結果補語から作る可能補語
- 結果補語: 听懂() - 聞いて理解する
可能・肯定: 听得懂() - 聞き取れる、聞いて理解できる
可能・否定: 听不懂() - 聞き取れない、聞いても理解できない
例: 他说得太快了,我听不懂。() - 彼の話すのが速すぎて、私は聞き取れません。 - 結果補語: 做完() - やり終える
可能・肯定: 做得完() - やり終えることができる
可能・否定: 做不完() - やり終えることができない
例: 今天的作业太多了,我做不完。() - 今日の宿題は多すぎて、私はやり終えられません。
2. 方向補語から作る可能補語
- 方向補語: 进来() - 入ってくる
可能・肯定: 进得来() - 入ってこれる
可能・否定: 进不来() - 入ってこれない
例: 门锁了,我进不来。() - ドアに鍵がかかっていて、私は入れません。 - 方向補語: 上去() - 上がっていく
可能・肯定: 上得去() - 上がっていける
可能・否定: 上不去() - 上がっていけない
例: 太高了,我上不去。() - 高すぎて、私は上れません。
※(090) 一部の可能補語は、元となる結果・方向補語がない特殊な形(例:了得() - すごい)もありますが、まずは基本パターンを覚えましょう。