【大人の学び直し英語】関係代名詞 (who, which, that) の完全ガイド
英語の長文を読んでいると、who や which が出てきて文の構造がわからなくなり、混乱した経験はありませんか? 「あの人が...」「あの本が...」と、名詞の直後から突然、新しい説明が始まるのが英語の特徴です。
この「説明」の役割を担うのが関係代名詞です。これは、2つの文を1つに繋ぎ、前の名詞(先行詞)を詳しく説明するための「接着剤 兼 代名詞」のようなもの。
関係代名詞をマスターすれば、長い英文もスラスラ読めるようになり、自分でも「あの時会った人」「昨日買った本」といった豊かな表現ができるようになります。この記事で、who, which, that の基本を完璧に押さえましょう。
そもそも関係代名詞とは?
関係代名詞は、その名の通り「関係(接続詞)」と「代名詞」の2つの働きを同時にこなす単語です。百聞は一見に如かず、2つの文が1つになるプロセスを見てみましょう。
例1:「人」を説明する場合
ここに2つの文があります。
1. I have a friend. (私には友達がいます。)
2. He lives in London. (彼はロンドンに住んでいます。)
この2文の共通点は a friend と He です。He を「接続詞 + 代名詞」の役割を持つ who に変えて、1文に合体させます。
→ I have a friend who lives in London.
(私にはロンドンに住んでいる友達がいます。)
who が He の代わりをしながら、前の名詞 a friend に「どんな友達か」の説明を加えています。この説明される名詞 a friend のことを先行詞と呼びます。
例2:「モノ」を説明する場合
1. I bought a book. (私は本を買いました。)
2. It was very expensive. (それはとても高価でした。)
共通点は a book と It です。It を which に変えて合体させます。
→ I bought a book which was very expensive.
(私はとても高価だった本を買いました。)
who / which / that の基本的な使い分け
ルールは非常にシンプルです。先行詞(説明したい名詞)が「人」か「モノ・動物」かで見分けるだけです。
1. who(先行詞が「人」)
先行詞が「人」の場合に使います。
The woman who is talking to Ken is my teacher.
(ケンと話しているその女性は、私の先生です。)
2. which(先行詞が「モノ・動物」)
先行詞が「モノ」や「動物」の場合に使います。
This is the key which I found yesterday.
(これは私が昨日見つけた鍵です。)
3. that(「人」にも「モノ」にも使える万能選手)
that は who と which どちらの代わりにも使える、便利な関係代名詞です。会話では that が使われることも非常に多いです。
The woman that is talking to Ken is my teacher. (人)
This is the key that I found yesterday. (モノ)
最大の関門:「主格」と「目的格」を見分ける
関係代名詞を学ぶ上で最も重要なのが、この「主格」と「目的格」の違いです。これが分かると、なぜ語順が変わるのか、そして「関係代名詞の省略」という最重要ルールが理解できます。
主格:「~が」の役割(関係代名詞 + 動詞)
関係代名詞が、続く説明文の中で「主語(~が)」の役割を果たす場合、主格と呼びます。見分け方は、直後に動詞(V)が来ることです。
I know the boy who broke the window.
(私はその窓を割った少年を知っています。)
→ who の直後に broke (動詞) が来ています。who 自身が「(その少年が)割った」という主語になっています。
The cat which is sleeping under the table is mine.
(テーブルの下で寝ている猫は私のです。)
→ which の直後に is sleeping (動詞) が来ています。which が「(その猫が)寝ている」という主語になっています。
目的格:「~を」の役割(関係代名詞 + 主語 + 動詞)
関係代名詞が、続く説明文の中で「目的語(~を、~に)」の役割を果たす場合、目的格と呼びます。見分け方は、直後に「主語(S) + 動詞(V)」が来ることです。
The actor who(m) I respect is Mr. Ford.
(私が尊敬している俳優はフォードさんです。)
→ who(m) の直後に I (主語) + respect (動詞) が来ています。respect する対象(目的語)が who(m) です。 (I respect the actor という関係)
※目的格の場合、who よりも whom が文法的に正しいとされますが、現代英語、特に会話では who や that が主流です。
The cake which she made was delicious.
(彼女が作ったケーキは美味しかった。)
→ which の直後に she (主語) + made (動詞) が来ています。made の対象(目的語)が which です。 (She made the cake という関係)
【最重要ポイント】目的格は「省略」できる
なぜ主格と目的格を区別する必要があるのか? それは、目的格の関係代名詞は省略できるというルールがあるからです。
英語の長文で The cake she made... のように「名詞 + 名詞 + 動詞」という並びが出てきたら、99%この省略が起きています。
The actor who(m) I respect...
→The actor I respect...(私が尊敬する俳優...)The cake which she made...
→The cake she made...(彼女が作ったケーキ...)
この感覚がわかると、英語が「後ろから前に戻って訳す」ものから、「前からカタマリで理解する」ものに変わっていきます。
まとめ:関係代名詞の使い分け
最後に、who, which, that の使い方と、省略のルールを表で整理しましょう。
| 先行詞 (説明する名詞) | 役割 (格) | 関係代名詞 | 省略 |
|---|---|---|---|
| 人 | 主格 (〜が)(例) ...who goes... |
who / that |
不可 🚫 |
目的格 (〜を)(例) ...who(m) I met... |
who(m) / that |
可能 👍 | |
| モノ・動物 | 主格 (〜が)(例) ...which is... |
which / that |
不可 🚫 |
目的格 (〜を)(例) ...which you bought... |
which / that |
可能 👍 |
関係代名詞は、文を自由に長く、そして具体的にするための強力なツールです。まずは「主格」と「目的格」の語順の違い、そして「目的格は省略できる」という2点をしっかり押さえて、英文読解に役立ててください。