【大人の学び直し英語】文の骨格「5文型」の完全ガイド
英語を学び直すとき、多くの人がつまずきがちな「5文型」。学生時代に SVOC などの記号を丸暗記させられた記憶が蘇るかもしれません。
しかし、5文型は単なる文法問題のためのものではありません。これは、英語の文がどのような「骨格」で成り立っているかを示す、最も重要な「設計図」です。
なぜこの語順になるのか? O(目的語)と C(補語)の違いは何か? これらが感覚的に理解できると、英文を読むスピードと正確さが劇的に向上し、英作文も「単語のパズル」から「骨格に肉付けする」作業に変わります。この記事で、5文型の本質をマスターしましょう。
5文型とは? なぜ学ぶ必要があるのか?
英語の文は、その構造によって大きく5つのパターンに分類できます。これが「5文型」です。すべての英文は、どれだけ複雑に見えても、この5つのどれかのバリエーションに過ぎません。
文型を構成する要素は以下の4つです。
S(Subject) : 主語(〜は、〜が)V(Verb) : 動詞(〜する)O(Object) : 目的語(〜を、〜に)C(Complement) : 補語(SやOの状態・性質を説明する言葉)
特に重要なのが O と C の違いです。
- 目的語 (O): 主語(S)とは「別モノ」。動詞(V)の「対象」となる名詞。
例:I play tennis.(私はテニスをする) →I≠tennis - 補語 (C): 主語(S)や目的語(O)と「イコール(=)」または「状態」を表す。名詞または形容詞。
例:I am a student.(私は学生です) →I=a student
まずは、5つのパターンの全体像を掴みましょう。
| 文型 | 構造 | 日本語のコアイメージ |
|---|---|---|
| 第1文型 | S + V |
「SがVする」(完結) |
| 第2文型 | S + V + C |
「S = C である」(状態) |
| 第3文型 | S + V + O |
「SがOをVする」(対象) |
| 第4文型 | S + V + O1 + O2 |
「SがO1にO2をVする」(授与) |
| 第5文型 | S + V + O + C |
「SがOをCの状態にする」(使役) |
【徹底解説】5文型の見分け方とコアイメージ
ここからは、各文型を例文と共に詳しく見ていきます。重要なのは「動詞(V)の後ろに何が来ているか」です。
第1文型 (SV): 「SがVする」(完結)
コアイメージ: 主語(S)の動作・存在だけで文が完結するパターン。
V は「自動詞」と呼ばれ、目的語(O)を必要としません。in the park(公園で)や every morning(毎朝)のような「場所・時・方法」を表す言葉(修飾語 M)が付くことは多いですが、文の骨格としてはカウントしません。
Birds sing. (鳥が歌う。)
He lives in Fukuoka. (彼は福岡に住んでいる。)
→ S=He, V=lives. in Fukuoka は修飾語(M)です。
The sun rises from the east. (太陽は東から昇る。)
→ S=The sun, V=rises. from the east は修飾語(M)です。
第2文型 (SVC): 「S = Cである」(状態)
コアイメージ: S と C をイコール(=)で結ぶパターン。
動詞(V)は be動詞(is, am, are)や、become(〜になる)、look(〜に見える)、feel(〜と感じる)、sound(〜に聞こえる)など、「状態」を表す動詞が使われます。C(補語)には名詞または形容詞が入ります。
Cが名詞の場合 (S = C)
She is a doctor. (彼女は医者です。)
→ S=She, V=is, C=a doctor (She = a doctor)
Cが形容詞の場合 (Sの状態)
This soup tastes delicious. (このスープは美味しい味がする。)
→ S=This soup, V=tastes, C=delicious (This soup = delicious)
He looks happy. (彼は幸せそうだ。)
→ S=He, V=looks, C=happy (He = happy)
第3文型 (SVO): 「SがOをVする」(対象)
コアイメージ: 主語(S)のアクションが、対象(O)に影響を与える最も一般的なパターン。
V は「他動詞」と呼ばれ、「何を?」を表す目的語(O)が必ず必要です。ポイントは S ≠ O(SとOは別モノ)であることです。
I play the piano. (私はピアノを弾きます。)
→ S=I, V=play, O=the piano (I ≠ the piano)
She loves cats. (彼女は猫を愛している。)
→ S=She, V=loves, O=cats (She ≠ cats)
We enjoyed the party. (私たちはパーティーを楽しんだ。)
→ S=We, V=enjoyed, O=the party (We ≠ the party)
第4文型 (SVOO): 「SがO1にO2をVする」(授与)
コアイメージ: 「誰かに」「何かを」あげる・見せる・教える、という「授与」のパターン。
give, show, tell, buy, send などの動詞が使われ、目的語(O)を2つ取ります。O1 (間接目的語) には「人」、O2 (直接目的語) には「モノ・コト」が入るのが基本です。
My mother gave me this book. (母は私にこの本をくれた。)
→ S=My mother, V=gave, O1=me (人に), O2=this book (モノを)
Please show me your passport. (私にあなたのパスポートを見せてください。)
→ S=(You), V=show, O1=me, O2=your passport
He bought his son a new bike. (彼は息子に新しい自転車を買ってあげた。)
→ S=He, V=bought, O1=his son, O2=a new bike
第5文型 (SVOC): 「SがOをCの状態にする」(使役)
コアイメージ: Sの動作によって、「O = C の状態」を作り出すパターン。
一見難しそうですが、O と C の間に「隠れた主語・述語の関係 (O = C)」があると見抜くのがコツです。C には名詞や形容詞が入ります。
You make me happy. (あなたは私を幸せにする。)
→ S=You, V=make, O=me, C=happy
→ OとCの関係に注目: me = happy (私が幸せ) という状態を You が make する。
They named their dog "Pochi". (彼らは犬を「ポチ」と名付けた。)
→ S=They, V=named, O=their dog, C="Pochi"
→ OとCの関係: their dog = "Pochi" (犬 = ポチ) という状態を named で作り出した。
I found this book interesting. (私はこの本が面白いとわかった。)
→ S=I, V=found, O=this book, C=interesting
→ OとCの関係: this book = interesting (この本 = 面白い) ということを found (見つけた・わかった)。
【重要】なぜ5文型がわかると英語が読めるのか?
5文型を理解する最大のメリットは、英文を「予測しながら」読めるようになることです。
I found...(SVO) と読んだ時点で、頭は「何を見つけた?」(O) と予測します。
→I found my keys.(第3文型 SVO)- しかし、
I found my keys...の後にさらに言葉(形容詞)が続いたら?
→I found my keys easily.(easilyは修飾語M → 第3文型)
→I found the book easy.(easyは形容詞C → 第5文型 SVOC) - この2つの文は意味が全く異なります。
1.SVOO(第4文型): I found my son a good teacher. (私は息子に良い先生を見つけてあげた。)
2.SVOC(第5文型): I found my son a good student. (私は息子が良い生徒だとわかった。) - このように、動詞の後に「Oが1つか?」「OとCか?」「Oが2つか?」を判断することで、文の意味を正確かつ迅速に掴めるようになります。
まとめ:5文型は英語の「設計図」
今回は、英語の文の「骨格」である5文型を解説しました。もう一度、コアイメージをおさらいしましょう。
- 第1文型 (SV): SがVする。(完結)
- 第2文型 (SVC): S = C である。(状態)
- 第3文型 (SVO): SがOをVする。(対象)
- 第4文型 (SVOO): SがO1にO2をVする。(授与)
- 第5文型 (SVOC): Sが O = C の状態にする。(使役・命名)
最初はすべての文を完璧に分類できなくても構いません。大切なのは、「この動詞の後ろには、何が来るべきか?」と常に「文の骨格」を意識するクセをつけることです。
この設計図が頭に入れば、英文読解も英作文も、驚くほどシンプルに見えてくるはずです。