【大人の学び直し英語】時制(4) 現在完了形 (have + 過去分詞) の完全ガイド
「英語を勉強し直したい」と思ったとき、多くの人がつまずくのが「時制」です。特に、私たち日本人にとって最も感覚が掴みにくい時制の一つが、この「現在完了形」ではないでしょうか。
「過去形と何が違うの?」と疑問に思うことも多いはずです。現在完了形 (have + 過去分詞) は、単なる過去の出来事を話すものではありません。そのコアイメージは「過去の出来事が『今』とどう繋がっているか」を示すことにあります。
この記事では、現在完了形の核となる感覚を理解し、代表的な3つの使い方「完了・経験・継続」をマスターすることで、ネイティブの感覚に一歩近づくことを目指します。
1. 現在完了形のコアイメージ:「今」との繋がり
現在完了形を理解する鍵は、「過去形」との違いを明確にすることです。
- 過去形:過去のある「点」での出来事。「今」とは切り離されている。
- 現在完了形:過去から現在までの「線」または「幅」。常に「今」に焦点が当たっている。
例えば、鍵をなくした場合を考えてみましょう。
過去形:
I lost my key yesterday. (昨日、鍵をなくしました。)
→ 「昨日なくした」という過去の事実を述べているだけ。今は見つかったかもしれません。
現在完了形:
I have lost my key. (鍵をなくしてしまいました。)
→ 「過去になくした」結果、「今も持っていない」という現在の状況を強く示します。
2. 現在完了形の3つの主要な使い方
この「今との繋がり」というコアイメージから、現在完了形は主に3つの使い方(用法)に分類されます。これらは日本語訳で覚えるのではなく、あくまで「感覚」で捉えることが大切です。
①【完了・結果】「(ちょうど)~したところだ」
過去に始まった動作が「今」完了したこと、またはその動作の結果が「今」どうなっているかを示します。just (ちょうど), already (すでに), yet (まだ) といった副詞とよく使われます。
I have just finished my homework. (ちょうど宿題が終わったところだ。)
→ 今、宿題が完了した状態です。
Have you eaten lunch yet? (もうお昼ご飯は食べましたか?)
→ 「今」の時点でお昼を済ませたかどうかを聞いています。
She has already gone to bed. (彼女はすでに寝てしまいました。)
→ 過去に寝た結果、「今」はもうベッドにいて、ここにはいない、という意味を含みます。
②【経験】「(今までに)~したことがある」
過去から「今」までの人生(または一定期間)において、何かを経験したことがあるかどうかを示します。「今」の時点での経験値を語るイメージです。once (1回), twice (2回), ... times (~回), before (以前に), ever (今までに), never (一度も~ない) とよく使われます。
I have been to Paris twice. (私はパリに2回行ったことがある。)
→ 「今」までの人生で2回の経験がある、ということです。
Have you ever read this book? (今までにこの本を読んだことがありますか?)
He has never tried natto. (彼は一度も納豆を食べたことがない。)
→ 「今」まで一度もその経験がない、ということです。
③【継続】「(ずっと)~している」
過去のある時点から「今」まで、ある状態や動作がずっと続いていることを示します。for(期間)や since(起点)とセットで使われることが非常に多いです。
We have lived in this town for five years. (私たちはこの街に5年間住んでいます。)
→ 5年前に住み始め、「今」も住んでいる、という継続を示します。
I have known her since we were children. (私たちは子供の頃からお互いを知っています。)
→ 子供の頃という過去の「起点」から、「今」までずっと知り合いだ、ということです。
How long have you been waiting here? (ここでどのくらい待っているのですか?)
→ 過去から「今」まで待ち続けている時間を尋ねています。(※これは現在完了進行形ですが、「継続」のニュアンスは同じです)
3. 過去形との決定的な違い(最重要)
現在完了形をマスターするには、「過去形」と明確に使い分ける意識が不可欠です。最大の違いは、「過去の特定の時を示す副詞」と一緒に使えるかどうかです。
【ポイント】現在完了形 vs 過去形
- 過去形 (Past Tense)
- 焦点:過去の「一点」
- 感覚:「今」とは切り離された、昔話。
- 一緒に使える語:
yesterday,last week,... ago,in 2010など、過去の特定の日時。 - (例) I saw that movie last night. (昨夜、その映画を見た。)
- 現在完了形 (Present Perfect)
- 焦点:過去から「今」への繋がり
- 感覚:「今」の状況を説明している。
- 一緒に使えない語:
yesterday,last nightなど、過去の特定の日時。(※「~以来」という意味のsince yesterdayはOK) - (例) I have already seen that movie. (もうその映画は見た。)
「昨夜」や「去年」といった明確な過去の一点を示す言葉があるなら、それは「今」との繋がりではなく「過去の話」なので、必ず過去形を使います。これは絶対的なルールとして覚えましょう。
まとめ:「今」に焦点を当てる感覚
今回は、現在完了形 (have + 過去分詞) について学びました。3つの用法(完了・経験・継続)を学びましたが、すべてに共通するコアイメージは「過去の出来事が、今の自分(状況)にどう影響しているか」を語る時制である、ということです。
- 完了:過去の動作が「今」終わった。
- 経験:過去の経験が「今」の自分を作っている。
- 継続:過去の状態が「今」も続いている。
この「今」に焦点を当てる感覚を掴むことが、現在完了形マスターへの一番の近道です。ぜひ例文を音読しながら、そのニュアンスを感じ取ってみてください。