【大人の学び直し英語】不定詞 (to + 動詞)の完全ガイド
「英語を勉強し直したい」と思ったとき、多くの人が再び出会うのが「不定詞(ふていし)」です。学生時代に「名詞的用法、形容詞的用法、副詞的用法…」と暗記した記憶はあるものの、結局それが何なのかよく分からなかった、という方も多いのではないでしょうか。
不定詞は、簡単に言えば**「動詞の前に to を置いて、別の品詞(役割)に変身させる」**という超重要ルールです。
例えば、I want... (私は〜が欲しい) という文に、drink water (水を飲む) をくっつけたい時。そのままでは繋げませんが、to を使って I want to drink water. とすれば、「水を飲むこと」が欲しい=「水が飲みたい」という文が完成します。
この記事では、不定詞の3つの基本的な「変身パターン」を、大人の視点でスッキリと整理し直します。これが分かれば、あなたの表現できることの幅は飛躍的に広がります。
1. 不定詞の「正体」とは? - 動詞の「変身」
不定詞の形はとてもシンプルです。
to + 動詞の原形
動詞の原形とは、plays や played のような変化をしていない、元の形(play)のことです。この to ... という形になることで、動詞は「〜すること」「〜するための」「〜するために」といった、**名詞・形容詞・副詞**の役割を持てるようになります。
to には「そちらに向かう」という矢印 (→) のイメージがあります。そこから、不定詞は**「これから〜する」という未来志向のニュアンス**を持つのも特徴です。
2. 不定詞の3つの「顔」- 名詞・形容詞・副詞
不定詞の最も重要なポイントは、文の中での役割(品詞)に応じて、意味が変わることです。代表的な3つの「顔」を見ていきましょう。
| 用法 (顔) | 主な意味 | 文中の役割 |
|---|---|---|
| ① 名詞的用法 | 「~すること」 | 主語・目的語・補語になる |
| ② 形容詞的用法 | 「~するための」「~すべき」 | 直前の名詞を説明する |
| ③ 副詞的用法 | 「~するために」「~して」 | 動詞や文全体を補足説明する |
① 名詞的用法:「~すること」
動詞を「~すること」という「名詞のカタマリ」に変身させます。文の中で「主語(S)」「目的語(O)」「補語(C)」として使われます。
[主語になる例]
To learn English is fun.
(英語を学ぶこと = 楽しいです)
※主語が長くなるため、It is fun to learn English. という形もよく使われます。
[目的語になる例]
I want to visit Kyoto.
(私は欲しい / 京都を訪れること を → 私は京都を訪れたい)
[補語になる例]
My dream is to travel the world.
(私の夢 = 世界を旅すること です)
② 形容詞的用法:「~するための」
直前にある名詞を「どんなものか」を具体的に説明(修飾)します。「~するための」「~すべき」と訳すと自然です。
I want something to drink.
(私は何かが欲しい / 飲むための → 何か飲むものが欲しい)
He has a lot of homework to do.
(彼はたくさんの宿題がある / すべき → やるべき宿題がたくさんある)
We need a house to live in.
(私たちは家が必要だ / 住むための → 住むための家が必要だ)
※ live in a house のように、前置詞(in)が必要な場合があるので注意です。
③ 副詞的用法:「~するために」「~して」
動詞や文全体に対して、「なぜそうするのか(目的)」や「どう感じたか(感情の原因)」などの補足情報を加えます。最も使われるパターンです。
[目的:「~するために」]
I went to the library to study.
(私は図書館へ行った / 勉強するために)
[感情の原因:「~して」]
I am happy to meet you.
(私は嬉しいです / あなたに会えて)
He was surprised to hear the news.
(彼は驚いた / そのニュースを聞いて)
3. 大人のための補足:不定詞と「動名詞 (doing)」の違い
「~すること」と訳せるものには、不定詞 (to do) だけでなく、「動名詞 (doing)」もあります。I like to play tennis. と I like playing tennis. の両方が使えるように、違いが曖昧な場合もあります。
大まかなイメージとして、以下のように捉えると便利です。
【イメージの違い】
そのため、want, hope, decide のように未来のことを示す動詞は「不定詞」と相性が良く、enjoy, finish, stop のように習慣や終わったことを示す動詞は「動名詞」と相性が良い、という傾向があります。
4. これだけは押さえたい!不定詞の重要構文
不定詞は、他の語と組み合わさって「型」として使われることも非常に多いです。ここでは最低限押さえたい2つの型を紹介します。
① (人) に~してほしい / ~するよう頼む
want + 人 + to do や ask + 人 + to do の形です。自分がするのではなく、他の誰かに「〜すること」を望んだり、頼んだりする表現です。
I want you to come to the party.
(私はあなたにパーティーに来てほしい)
She asked me to help her.
(彼女は私に手伝ってくれるよう頼んだ)
② It is ... to do ~(~することは…だ)
名詞的用法で紹介した To learn English is fun. の別パターンです。to... のカタマリが長すぎて頭でっかちになるのを避けるため、仮の主語 It を置いて、to... を後ろに回した形です。会話ではこちらが主流です。
It is important to get enough sleep.
(十分な睡眠をとることは重要です)
It was difficult to solve the problem.
(その問題を解くことは難しかった)
まとめ:不定詞は「動詞の可能性を広げる」ツール
今回は、不定詞 (to + 動詞) の基本を復習しました。
- 不定詞は
to + 動詞の原形で、動詞を変身させるルール。 - 「~すること」(名詞):
I like to swim. - 「~するための」(形容詞):
I have no time to rest. - 「~するために」(副詞):
I came here to see you.
最初は見分けるのが難しいかもしれませんが、まずは「to の後ろに動詞が来たら、この3つのどれかの意味だな」と当たりをつけられれば十分です。
不定詞を使いこなせると、シンプルな文を組み合わせて、より複雑で豊かな表現ができるようになります。まずは I want to... (~したい) から、ご自身の「やりたいこと」を英語で表現することから始めてみてください。