円形脱毛症はなぜ起こる?遺伝するの?AGAとの違いと治療法
「ある日突然、コインみたいに髪が抜けてしまった…」
このような経験から、円形脱毛症について不安に思っている方もいらっしゃるかもしれません。多くの人が心配するAGA(男性型脱毛症)とは異なり、円形脱毛症は原因も見た目も、そして治療法も全く異なります。
この記事では、専門的な報告書の内容を基に、円形脱毛症の正体と、気になる原因や遺伝との関係について、分かりやすく解説します。
円形脱毛症の正体は「自己免疫疾患」
円形脱毛症の根本的な原因は、AGA(男性型脱毛症)のようにホルモンが影響するものではなく、「自己免疫疾患」であるとされています。女性も男性と同じくらいの頻度で起こります。20代から30代によく起きます。
通常、私たちの免疫細胞は、体内に侵入したウイルスや細菌などの外敵を攻撃して体を守ってくれます。しかし、何らかの異常によって、免疫細胞が自分の健康な毛包(髪の根元)を「敵」と間違えて攻撃してしまうことがあります。これが円形脱毛症の正体です。
免疫細胞からの攻撃を受けた毛包はダメージを受け、髪の毛が突然、円形や帯状に抜け落ちてしまうのです。
AGA(男性型脱毛症)との決定的な違い
円形脱毛症とAGAは、どちらも「髪が抜ける」という点では同じですが、その性質は全く異なります。
| 特徴 | 円形脱毛症 (AA) | 男性型脱毛症 (AGA) |
|---|---|---|
| 原因 | 自己免疫疾患 | 男性ホルモン(DHT)の影響 |
| 進行パターン | 突然、円状・帯状に抜け落ちる | 生え際や頭頂部からゆっくり進行 |
| 自覚症状 | 「薄くなってきた」という期間はほぼない | 徐々に薄毛が進行していく |
このように、じわじわと進行するAGAに対し、円形脱毛症は突然発症するのが大きな特徴です。
気になる疑問:「円形脱毛症は遺伝する?」
結論から言うと、円形脱毛症にも遺伝的な要素があると考えられています。
報告書によると、血縁関係が近いほど発症の可能性は高まり、特に第一親等(親や兄弟姉妹、子)に円形脱毛症の人がいる場合、発症率は一般の約10倍になるとされています。
ただし、遺伝的要素があれば必ず発症するというわけではなく、あくまで「なりやすい体質」が受け継がれる可能性があるということです。
回復の可能性と治療法
進行性であるAGAとは異なり、円形脱毛症は適切な治療によって毛髪の再生が期待できる病気です。
治療の基本は、免疫の過剰な働きを抑えることです。
- ステロイド外用療法: 炎症を抑えるステロイドの塗り薬を使う、世界中で行われている標準的な治療法です。
- ステロイド局所注射: 脱毛斑に直接ステロイドを注射し、より効果的に免疫の働きを抑えます。
- その他の治療: 症状や範囲に応じて、紫外線療法や内服薬などが組み合わせて用いられることもあります。
円形脱毛症は、治療によって改善が見込める病気です。突然の脱毛に気づいたら、自己判断で悩まず、まずは皮膚科の専門医に相談することが非常に重要です。
【免責事項】 この記事は、一般的な情報提供を目的としており、医学的なアドバイスに代わるものではありません。必要であれば医師や専門家にご相談ください。