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日々の雑感

「老化による脱毛」と「治療できる脱毛」を違いを紹介。

 

どうして脱毛は起こるのか?「病気のハゲ」と「老化による薄毛」の決定的な違い 🧑‍🦱➡️🦲

はじめに:ただの老化じゃない、「病気のハゲ」の正体

誰もが年を重ねると髪のボリュームが減るものですが、その薄毛が単なる「老化」によるものか、それとも治療すべき「病気」によるものかをご存知でしょうか?一般に「ハゲ」と呼ばれる現象の多くは、単なる加齢ではなく、医学的に進行性の疾患として定義される男性型脱毛症(AGAが原因です。本記事では、このAGAがなぜ起こるのか、そのメカニズムをわかりやすく解説し、一般的な老化による薄毛との決定的な違いを明らかにします。


1. 髪の毛の「寿命」を知る:ヘアサイクルとは?

まず、健康な髪の毛がどのような仕組みで生え替わっているのかを知りましょう。髪の毛は一本一本が独立した「ヘアサイクル(毛周期)」と呼ばれる寿命を繰り返しています。このサイクルは、主に以下の3つの期間で構成されています。

  1. 成長期(Anagen): 毛母細胞が活発に分裂し、髪が太く長く成長する期間。健康な髪の毛では、この期間が2年~6年と最も長く保たれます。
  2. 退行期(Catagen): 成長が止まり、毛根が縮み始める期間(数週間)。
  3. 休止期(Telogen): 髪の成長が完全に停止し、やがて抜け落ちるのを待つ期間(数ヶ月)。

健康な頭皮では、成長期の毛髪と休止期の毛髪の比率(Anagen:Telogen)は約12:1とされ、常に多くの髪が力強く育っています。

💡 AGAの正体:ヘアサイクルの「短縮」

AGAが病気であるとされる理由は、この健全なヘアサイクルが異常に乱され、「成長期が極端に短縮される」ことによって引き起こされるからです。AGAを発症した毛包(髪の根っこ)では、成長期が数ヶ月~1年程度に短くなり、髪が太く長く育つ前に抜け落ちてしまいます。その結果、髪は最終的に「うぶ毛」のような細くて短い状態になってしまい、頭皮の毛穴は残っているのに、髪の毛が目立たなくなる「毛包のミニチュア化」が起こるのです。


2. AGAの根本原因は「最強の脱毛ホルモン」DHT

AGAが進行する鍵を握るのは、体内に存在する男性ホルモン、特にジヒドロテストステロン(DHTと呼ばれる物質です。DHTは、しばしば「脱毛ホルモン」とも呼ばれる、AGAの真犯人です。

AGAとは? | AGA・発毛・薄毛治療のAGAスキンクリニック(Aスキ)

テストステロン ➡️ DHTへの変換プロセス

  1. 材料はテストステロン: 男性ホルモンの代表格であるテストステロンは、体内の様々な場所で分泌されています。
  2. 酵素が結合: このテストステロンが、毛包に存在する「5αリダクターゼ」という特別な酵素と結合します。
  3. 強力なDHTが誕生: この結合と変換によって、テストステロンよりも遥かに強力な作用を持つDHTが生成されます。

生成されたDHTは、毛母細胞にある「アンドロゲン受容体(男性ホルモンレセプター)」と結合し、毛母細胞に「成長を止めろ」という信号を送りつけます。この強力な信号が、先に述べたヘアサイクルの短縮、すなわち脱毛を引き起こすのです。

鍵となる酵素:5αリダクターゼの2つの型

DHT生成の鍵となる5αリダクターゼには、I型とII型の2種類があり、その分布が治療戦略に直結しています。

  • II型5αリダクターゼ: AGAの影響を強く受ける前頭部(生え際)や頭頂部の毛包に多く分布しています。
  • I型5αリダクターゼ: 全身の皮脂腺などに広く分布しています。

この違いこそが、AGA治療薬の作用機序の核心であり、特にAGAの発症に深く関わるII型の働きを阻害することが、治療の主要な目的となります。


3. 「病気のハゲ(AGA)」と「老化による薄毛」の決定的な違い

薄毛や脱毛は、加齢による自然な現象と、AGAという特定の疾患による病的な進行の二つに分けて考える必要があります。

AGAと加齢による薄毛は違う? | AGA・薄毛治療の専門病院【聖心毛髪再生外来】

特徴 男性型脱毛症(AGA 老化による薄毛
原因 DHT(ジヒドロテストステロン)の影響と遺伝的素因 ホルモンや代謝の低下、血行不良などの加齢に伴う変化
進行パターン 特定の部位(額の生え際:M字、頭頂部:O字)からパターン化して進行 頭皮全体の毛髪が一様に細くなり、ボリュームが減少
発症時期 思春期以降、若年層から発症する可能性がある 中年期以降、高齢者に顕著になる
病態 毛包のミニチュア化(うぶ毛化)という病的な変化 毛母細胞の活動低下による自然な細毛化

AGAは単なる老化ではありません。遺伝的な素因を持つ人は、老化による変化に加えて、DHTによる病的な進行が加わるため、特定の部位から急速に薄毛が進行するのです。


結論:AGAのメカニズムを知り、早期対策を!

AGAは、体内で生成される強力な脱毛ホルモンDHTが、遺伝的に感受性の高い毛包の成長期を短縮させることで進行する「病気」です。単なる老化と放置せず、生え際や頭頂部の変化に気づいたら、早期に専門的な対策を始めることが、将来の豊かな髪を守る最善の戦略となります。

次の記事では、「ハゲは遺伝するのか?」という最も気になる疑問について、具体的な遺伝リスクの確率とともに、科学的な根拠を徹底的に解説します。