【大人の学び直し英語】助動詞 can, may, must の使い方 完全ガイド
「この場合、can と may ってどっちが丁寧だっけ?」「must と have to って同じ意味じゃないの?」... 学生時代に習ったはずの助動詞も、いざ使おうとすると、その微妙なニュアンスの違いに戸惑うことはありませんか?
助動詞は、会話に「気持ち」や「状況」といった彩りを加える重要なスパイスです。can, may, must はその中でも特に基本的なものですが、大人の英語としては、それぞれの持つ「中核イメージ」を理解し、場面に応じて正しく使い分けることが求められます。
この記事では、そんな助動詞の基本を「大人の学び直し」の視点から徹底解説します。それぞれの意味の違い、丁寧さの度合い、確信度などを整理し、自信を持って使いこなせるようになりましょう。
1. まずは共通ルールをおさらい!助動詞の3つの約束
個別の助動詞を見る前に、すべての助動詞に共通する大切なルールを3つだけ確認しておきましょう。これは英語の絶対的なルールです。
助動詞の基本ルール
- 助動詞の後ろは必ず「動詞の原形」
例:She can plays the piano.(X) →She can play the piano.(O) - 主語が三人称単数 (he, she, it) でも形は変わらない
例:He cans swim.(X) →He can swim.(O) - 否定文は直後に
not、疑問文は助動詞を主語の前に出す
否定文:You must not be late.
疑問文:Can I use this?
この3つのルールさえ押さえておけば、文法の形は完璧です。次に、それぞれの助動詞が持つ「意味」と「ニュアンス」を見ていきましょう。
2.「can」の中核イメージ:「できる」の可能性
can は「可能性のドアが開いている」イメージを持つ助動詞です。ここから3つの主要な意味が生まれます。
① 能力・可能「~できる」
最も基本的な意味です。能力や技術、状況的に何かが可能であることを示します。
I can speak Japanese. (私は日本語を話せます。)
We can see the ocean from our room. (私たちの部屋から海が見えます。)
【発展】can と be able to の使い分け
can と同じく「~できる」と訳される be able to。この2つの違いをここで明確にしておきましょう。基本的には can の方が口語的で一般的ですが、be able to でないと表現できない場面があります。
be able to を使う場面
- 未来のこと(助動詞の後)
助動詞は2つ連続で使えないため、will canとは言えません。You will be able to swim soon.(あなたはすぐに泳げるようになるでしょう。) - 完了形(have の後)
I haven't been able to concentrate recently.(最近、集中できていません。) - 不定詞・動名詞など他の形にしたい時
I want to be able to speak English.(私は英語を話せるようになりたいです。)
過去形 could と was/were able to のニュアンスの違い
過去の「能力」を表す場合、could と was/were able to には微妙なニュアンスの違いがあります。
could: 過去の一般的な能力。「(やろうと思えば)できた」という状態を示します。He could run very fast when he was young.(彼は若い頃、とても速く走ることができた。)was/were able to: 過去の特定の状況で「実際にできた」行為。困難を乗り越えて「なんとかできた」というニュアンスを含むことが多いです。The fire spread quickly, but everyone was able to escape.(火事は急速に広がったが、全員なんとか脱出できた。)
② 許可「~してもよい」
相手に許可を求めたり、与えたりする際に使います。親しい間柄で使われる、カジュアルな表現です。
Can I ask you a question? (質問してもいいですか?)
You can use my pen if you want. (よかったら私のペンを使っていいですよ。)
③ 可能性・推量「~でありうる、~の可能性がある」
「理論的にはそういうこともあり得る」といった、客観的な可能性を示します。
Accidents can happen anytime. (事故はいつでも起こりうるものです。)
It can be cold here even in summer. (ここは夏でも寒くなることがあります。)
3.「may」の中核イメージ:「許可」と「不確かさ」
may は「上から許可が下りる」ような、少しフォーマルなイメージと、「五分五分の不確かさ」を表すイメージを持ちます。
① 許可「~してもよろしい」
can よりも丁寧で、フォーマルな許可を求める表現です。ビジネスシーンや目上の方に対して使います。
May I come in? (入ってもよろしいでしょうか?)
May I have your name, please? (お名前を伺ってもよろしいですか?)
② 推量「~かもしれない」
確信度が50%程度の、根拠の弱い推量を表します。「たぶん~だろう」というニュアンスです。
She may be in a meeting now. (彼女は今、会議中かもしれません。)
It may rain this afternoon. (今日の午後は雨が降るかもしれません。)
4.「must」の中核イメージ:「強い圧力」と「確信」
must は、内側から湧き上がる、または外部からの「強い圧力」のイメージです。そこから「義務」と「強い推量」の意味が生まれます。
① 義務・必要「~しなければならない」
話者の強い意志や、規則による強い義務を表します。「絶対に~すべきだ」という強い気持ちが込められます。
You must finish this report by 5 p.m. (あなたはこの報告書を午後5時までに終えなければなりません。)
I must go on a diet. (私はダイエットをしなければなりません。)
② 強い推量「~にちがいない」
明確な根拠に基づいた、確信度の高い推量を表します。確信度は90%以上といったイメージです。
He hasn't eaten all day. He must be hungry. (彼は一日中食べていない。お腹が空いているにちがいない。)
You walked all the way from the station? You must be tired. (駅からずっと歩いてきたのですか?疲れているにちがいない。)
③【要注意】must not:強い禁止「~してはならない」
must not (短縮形: mustn't) は、「~する必要はない」ではなく「絶対にしてはいけない」という強い禁止を表します。これは非常によくある間違いなので、しっかり区別しましょう。
You must not touch this button. (このボタンに触れてはいけません。)
※「~する必要はない」は You don't have to touch this button. となります。
5. ニュアンス比較まとめ:場面に応じた使い分け
最後に、これまで見てきた3つの助動詞のニュアンスを、同じ状況で比較してみましょう。
| 状況 | 助動詞 | 例文 | ニュアンス |
|---|---|---|---|
| 許可を求める | Can |
Can I use your phone? | 親しい相手に「電話借りていい?」と聞くカジュアルな感じ。 |
May |
May I use your phone? | 目上の人や顧客に「お電話をお借りしてもよろしいでしょうか?」と聞く丁寧な感じ。 | |
| 推量(彼が家にいるか) | must |
He must be home. | (部屋に電気がついているから)彼は家にいるにちがいない。 [確信度: 高] |
can |
He can be home. | (もう帰宅時間だから)彼は家にいる可能性もあるね。 [客観的な可能性] | |
may |
He may be home. | (特に根拠はないが)彼は家にいるかもしれないね。 [確信度: 低] |
まとめ:中核イメージで使い分けよう
今回は、助動詞 can, may, must の使い方を復習しました。
can: 「可能性」のドアが開いているイメージ → 能力、カジュアルな許可、可能性。助動詞なので、未来形や完了形ではbe able toを使う。may: 「フォーマルな許可」と「不確かさ」のイメージ → 丁寧な許可、確信の低い推量must: 「強い圧力」のイメージ → 義務、確信の高い推量、強い禁止 (must not)
単語の意味を丸暗記するのではなく、それぞれの助動詞が持つ「中核イメージ」を掴むことが、自然な使い分けへの近道です。ぜひ、実際の会話やライティングの中で、このニュアンスの違いを意識しながら使ってみてください。