月影

日々の雑感

太陽でくしゃみが出るのはなぜ?「光くしゃみ反射」の原因と対策を解説

 

太陽を見ると「ハックション!」なぜ?その不思議なクシャミの正体は「ACHOO症候群」だった!

「暗い建物から一歩外へ出た瞬間、まぶしい太陽の光を浴びて、思わず『ハックション!』」

こんな経験、ありませんか? もしくは、あなたの周りに「太陽を見ると必ずクシャミをする人」はいませんか?

実はこれ、ただの偶然やまぶしさへの反応ではありません。「光くしゃみ反射(Photic Sneeze Reflex)」という、れっきとした遺伝的な体質なんです。そして、この現象にはユーモアたっぷりの名前がついています。その名も…

ACHOO(アチュー)症候群とは?

そう、まるでクシャミの音そのものですが、これはれっきとした医学的な頭字語(いくつかの単語の頭文字をとった言葉)なのです。

Autosomal-dominant
常染色体優性遺伝性の
Compelling
抑えがたい
Helio-Ophthalmic
太陽-眼の
Outburst
発作

難しく聞こえますが、要するに「親から50%の確率で遺伝する、太陽の光を目に浴びると我慢できずにクシャミが飛び出す体質」という意味です。かっこいい名前ですよね!


なぜ光でクシャミが?脳の中で起きる「神経の混線」

では、なぜ鼻とは関係ないはずの「光」がクシャミを引き起こすのでしょうか。そのメカニズムはまだ100%解明されていませんが、現在、有力な説が2つあります。

説①:神経の「配線ミス」理論

私たちの顔には、様々な感覚を脳に伝えるための神経が張り巡らされています。

  • 視神経:目から入った「まぶしい!」という光の情報を伝える神経。
  • 三叉神経(さんさしんけい):顔の感覚を司り、「鼻がムズムズするからクシャミをしろ!」と指令を出す神経。

この2つの神経は、脳の近くで非常に近い位置を通っています。ACHOO症候群の人の場合、目から入った「まぶしい!」という強い信号が視神経を流れるとき、その興奮がお隣の三叉神経に「ビリッ!」と漏れてしまうと考えられています。

三叉神経は、鼻に何も異常がなくても、突然の電気信号に「あれ?鼻が刺激された!」と勘違いしてしまい、脳に「クシャミ発射!」の指令を送ってしまうのです。これが、いわば神経の「混線」や「クロストークと言われる現象です。

説②:脳の「過剰興奮」理論

最近の研究では、もっと根本的な原因が脳にあるのではないか、と考えられています。

ACHOO症候群の人の脳を調べると、光の情報を処理する「視覚野」という部分が、普通の人よりも非常に敏感(過剰興奮しやすい)だということが分かってきました。

つまり、強い光が目に飛び込んでくると、この視覚野が「うわー!情報が多すぎる!」とパニックを起こし、信号を辺りかまわず撒き散らしてしまいます。その暴走した信号が、クシャミをコントロールする神経回路にまで影響を与え、クシャミの引き金を引いてしまう、というわけです。


あなたもACHOO症候群?気になる割合は?

このACHOO症候群、実はそれほど珍しいものではありません。

世界的に見ると、人口の約10%~35%がこの体質を持っていると言われています。欧米の白人の方に特に多いとされています。

日本人はどうなの?「4人に1人」は本当?

日本では昔から「4人に1人(25%)は光くしゃみ反射を持つ」と広く言われてきました。あなたも聞いたことがあるかもしれませんね。

しかし!2018年に行われた日本の大規模な遺伝子解析研究(ゲノムワイド関連解析)で、驚きの事実が判明しました。遺伝子レベルで強く関連している「真のACHOO症候群」の人の割合は、なんとわずか3.2%だったのです。

「25%」と「3.2%」、この大きな差はなぜ生まれたのでしょうか?

  • 25%の説:もともと花粉などで鼻がムズムズしている時に、光の刺激が最後の一押しとなってクシャミが出るような「広範囲の光くしゃみ」を含んでいる可能性が高いです。
  • 3.2%の説:遺伝子的な背景がはっきりしている、混じりっ気なしの「純粋な光くしゃみ反射」の人の割合だと考えられます。

どうやら、日本人における生粋のACHOO症候群は、これまで考えられていたよりもレアな体質なのかもしれませんね。


危険はある?上手な付き合い方

ACHOO症候群は病気ではなく、健康に害を及ぼすものではありません。ただ、特定の状況下では少し注意が必要です。

一番危険なのは車の運転中です。例えば、トンネルから出た瞬間にクシャミが連発すると、一瞬視界が遮られ、ハンドル操作が不安定になる可能性があります。

この体質と上手に付き合っていくための、簡単な予防策はこちらです。

  • サングラスやUVカット眼鏡をかける
  • つばの広い帽子をかぶる
  • 運転中は、トンネルの出口が近づいたら意識しておく

また、クシャミが出そうになった時に鼻の下(人中)を指でグッと押さえると、反射が止まることがあると言われています。ぜひ試してみてください。


まとめ

太陽の光による不思議なクシャミの正体は、遺伝による体質「ACHOO症候群」でした。その原因は、神経の混線や脳の過剰な興奮によるものと考えられています。

これは決して病気ではありませんが、運転中など、少しだけ注意が必要な場面もあります。もしあなたが「太陽を見るとクシャミが出る」なら、あなたは選ばれし(?)ACHOO症候群の一員かもしれませんね!