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日々の雑感

信仰とは何か?信じられない人が信心を得るためにすべき3つのこと

「神様」「仏様」…私たちは時に、目に見えない大いなる存在に救いを求めたいと感じることがあります。しかし、現代を生きる私たちは、すぐにこう考えてしまうのではないでしょうか。
「そもそも仏って何? 神って誰?」
「科学的に証明できないものは、どうも信じられない…」
「信じようとしても、心から信じることができない」
頭で考えれば考えるほど、信仰は遠ざかっていくように感じられます。その考え方こそが、信仰への道を閉ざしてしまっているです。

 

今回は、「清沢満之語録」にある『信仰問答』の項に書いてある「信仰とは何か、どうすれば信心を得られるか」をまとめます。清沢満之師については以前記事にしています。

【解説】清沢満之の「精神主義」とエピクテトスの共鳴。『臘扇記』から読み解く近代浄土真宗の源流 - 月影


信仰とは、パズルを解くような知的なゲームではありません。それは、もっとシンプルで、もっと実践的なものだったのです。今回はその書物から得たヒントを基に、「どうすれば信心を得られるのか」について、私たちが本当にすべきことをご紹介します。


最大の誤解:信仰を「研究」していませんか?
私たちは何かを理解しようとするとき、まずそれを分析し、研究し、知的に納得しようとします。しかし、信仰の世界では、このアプローチが最大の壁になるのです。


書物の中では、信仰の対象である仏や如来を「絶対無限」で「不可思議」なものだと表現していました。つまり、私たちのちっぽけな知性で分析し、理解できる範囲をはるかに超えた存在だということです。


これは、饅頭の味を知ろうとして、その色や形、原材料を延々と調べているようなものかもしれません。いくら詳しく分析しても、実際に食べてみなければ、その本当の味は決して分かりませんよね。
信仰も同じです。「仏とは何か?」と問い続け、哲学的に探求しても、それは信仰そのものではありません。まずすべきことは、研究をやめること。これが第一のステップです。


信仰を得るために、私たちが本当にすべき「3つのこと」
では、知的な探求をやめた後、私たちは何をすればいいのでしょうか。同書では、信仰を求める人が心に留めるべき「三つの要点」が示されていました。


1. まずは自分自身と向き合うこと
なぜ、あなたは信仰を求めているのでしょうか?
何に悩み、何に苦しんでいるのでしょうか?
書物では「本当に腹がすいてくると、石でも砂でも口に入れてみたくなる」という強烈な喩えが使われていました。自分が本当に飢えていること、喉が渇いていることに気づかなければ、食べ物や水の本当のありがたみは分かりません。
同じように、自分自身の弱さ、不完全さ、苦悩を正直に見つめ、「救われたい」という切実な心の叫びに耳を澄ますこと。これこそが、信仰を求める旅の出発点になります。


2. 「分からない」という事実を受け入れること
ステップ1で自分自身と向き合った結果、私たちはおそらく「自分には、この問題を解決する能力がない」という事実に直面します。そして、信仰の対象についても、「それが何であるか、完全には理解できない」ということを受け入れます。
これは敗北宣言ではありません。むしろ、ここからが本当の始まりです。自分の知性の限界を知り、「分からない」ということを謙虚に認めたとき、私たちは初めて、自分を超えた大いなる力を受け入れる準備が整うのです。


3. 「まず、受け入れてみる」と決意すること
最後のステップは、最も重要であり、勇気がいることかもしれません。それは「信じるべき対象があるなら、まず信じてみよう」という決意です。
これは盲目的に信じろということではありません。目の前に出された薬を「これは本当に効くのだろうか?」と疑ってばかりで飲まなければ、病気は決して治らないのと同じです。
「この人が言うことなら信頼してみよう」と善知識のいうことを聞くこと。
「この教えを、まずは実践してみよう」と自力で信じてみること。
そう決意して、一歩踏み出す勇気。精神の口を開いて、差し出された饅頭をまず一口食べてみる決断。その能動的な「決意」こそが、私たちを信仰へと導くのです。


まとめ:信仰は「知る」ものではなく、「味わう」もの
信仰とは、知識として頭に詰め込むものではありません。それは、空腹の人がご飯を食べるように、病気の人が薬を飲むように、自分自身の心と体で「味わう」体験そのものです。
もしあなたが今、「信じたいけど、信じられない」という袋小路に迷い込んでいるのなら、一度、頭で考えることをお休みしてみませんか?
そして、静かに自分自身の心を見つめ、救いを求める自分の声に耳を傾けてみてください。信仰への道は、遠いどこかにあるのではなく、あなたの心の内側から始まっているのですから。

 

参考文献、WEBサイト

清沢満之語録 現代語訳 岩波現代文庫

ローマの奴隷、明治の仏教者を救う:ストア哲学から「他力」へ、清沢満之の思索の旅路 - 月影

独尊子とは何か?―清沢満之が『臘扇記』で結びつけた禅と浄土 - 月影