妊婦健診で、お医者さんから「あなたのお母さんの血液型は、Rhマイナスですね」と言われて、ちょっぴり不安になっていませんか?
「Rhって何?」「赤ちゃんに影響はないの?」と、知らない言葉に戸惑ってしまいますよね。
でも、結論から言うと大丈夫。 現代の日本では、これは事前にきちんと管理できることなので、過度に心配する必要は全くありません。この記事では、Rh不適合妊娠とは何か、なぜ大丈夫なのかを、やさしく解説していきますね。
まずは基本から。「Rh式血液型」って、なあに?
私たちは血液型というと「A型」「O型」などを思い浮かべますが、実はもう一つ、「Rh(アールエイチ)式」という分類があります。
これは、赤血球の表面に「D抗原」という“目印”があるかどうかで決まります。
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Rhプラス(+):目印がある人(日本人の約99.5%)
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Rhマイナス(-):目印がない人(日本人の約0.5%)
そう、Rhマイナスは少し珍しい血液型というだけで、それ自体は病気でも何でもなく、個性の一つです。
どうして「不適合」が起こるの?
ではなぜ、妊娠の時にこのRhが関係してくるのでしょうか。 それは、お母さんとお腹の赤ちゃんの血液型の組み合わせがポイントになります。
この時、お母さんの体は、自分にはない「目印(D抗原)」を持つ赤ちゃんの血液を、“自分のものではない異物”だと認識してしまうことがあるのです。
これを、警備システムに例えてみましょう。 お母さんの体という「警備システム万全の建物」には、「目印のない人」しか入れません。そこへ「目印を持った」赤ちゃんの血液が(出産時などに)少しだけ入ってくると、警備システムが作動!
「侵入者発見!次に入ってきたらすぐに攻撃できるように、“侵入者の顔を覚えた抗体”を作っておこう!」
と、体を守るための抗体(こうたい)を作り始めます。この状態を「感作(かんさ)」と言います。
なぜ「2人目以降」の妊娠で注意が必要なの?
この警備システム、実はとても優秀です。 1人目の妊娠では、主に出産の時に赤ちゃんの血液がお母さんの体内に入ることが多いので、警備システムが「侵入者だ!」と気づいた頃には、赤ちゃんはもう無事に生まれています。1人目の赤ちゃん自身が攻撃されることは、ほとんどありません。
問題は、警備システムが一度“侵入者の顔を覚えてしまった”後です。
2人目以降の妊娠で、お腹の赤ちゃんがまたRhプラス(目印あり)だった場合、お母さんの体は「あの時の侵入者がまた来たぞ!」と、記憶していた抗体をすぐに大量に作り出し、胎盤を通じて赤ちゃんを攻撃してしまうことがあるのです。
心配しないで!現代医療のすごい「お守り注射」があります
「じゃあ、2人目は危ないの?」と不安になりますよね。 でも、安心してください。現代の産科医療には、これを未然に防ぐ、すごい“お守り”があるんです。
それが「抗D人免疫グロブリン」という注射です。
この注射は、お母さんの警備システムが「侵入者だ!」と気づいて抗体を作り始める前に、お母さんの体内に入ってしまった赤ちゃんの血液(目印)を、そっとお掃除してくれます。
つまり、警備システムに“侵入者の顔を覚えさせない”ようにしてくれる、とても賢い注射なのです。
▼注射のタイミングは主に2回
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妊娠28週ごろ:万が一に備えて、まず1回。
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出産後72時間以内:生まれた赤ちゃんの血液型がRhプラスだった場合に、次の妊娠に備えてもう1回。
このお守り注射のおかげで、お母さんの体が抗体を作るのを防げるので、2人目以降の妊娠も安心して臨むことができるのです。
まとめ:心配しないで、お医者さんと一緒に準備しましょう
「Rhマイナス」と聞くと少しドキッとしてしまいますが、その正体と対策が分かると、安心できたのではないでしょうか。
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Rhマイナスは、ただの血液型の個性。
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問題が起こる前に、「お守り注射」でしっかり予防できる。
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日本の妊婦健診では必ずチェックするので、見逃されることはない。
あなたの体と大切な赤ちゃんを守るための準備は、今の医療で万全に整っています。不安なことや分からないことがあれば、一人で抱え込まずに、いつでもお医者さんや助産師さんに質問してみてくださいね。
参考ウエブサイト
はじめに/Rh式血液型不適合妊娠とは? | Rh式血液型不適合妊娠と抗D人免疫グロブリン製剤