はじめに:私立大学文系受験の特徴
私立大学文系の入試は、多くの受験生にとって合格のチャンスが広がる一方で、的確な戦略が求められる戦いです。その最大の特徴は、「科目数の少なさ」と「大学・学部ごとの出題傾向の多様性」にあります。
一般的に英語、国語、選択科目(地歴・公民または数学)の3教科に絞られるため、1科目あたりの完成度が合否を大きく左右します。また、大学ごとに問題形式や難易度が大きく異なるため、「この大学に受かるための対策」という特化した学習が不可欠です。
さらに、複数の大学・学部を併願することが一般的なため、限られた時間の中で、各大学の対策を効率よく進めるには、しっかりとした「戦略」が不可欠になります。
この記事では、その戦略立案の最強ツールとして、大谷翔平選手も活用した「マンダラチャート」を用いた私立大学文系合格へのロードマップをご紹介します。
私立大学文系合格のためのマンダラチャート【全体戦略編】
まずは、私立大学文系合格という最終目標から逆算して、達成すべき8つの中核目標と、それらを達成するための具体的な行動計画を洗い出したマンダラチャートのテンプレートです。中央の「〇〇大学合格」の部分は、ご自身の第一志望校に書き換えてください。
使い方:
以下のチャートの各マスは、クリックして直接テキストを編集できます。
あなた自身の目標や行動計画に合わせて自由に書き換え、ご活用ください。
| 過去問を10年分以上解き、時間配分を体得 | 大学特有の問題形式(マーク、記述、正誤問題等)に慣れる | 赤本・青本を徹底的に分析・研究する | 共通テスト利用のボーダーを把握 | 一般選抜との対策のバランスを考える | 自分に有利な方式を見極める | 7時間睡眠を死守 | 栄養バランスの取れた3度の食事 | 週1回は運動でリフレッシュ |
| 学部・学科ごとの出題傾向の違いを調べる | 志望校特化対策 | 記述・論述問題は添削指導を受ける | 出願する学部を決める | 共通テスト 利用対策 |
リサーチに時間をかけすぎない | スマホは勉強部屋に持ち込まない | 生活習慣と 健康管理 |
試験本番に合わせた生活リズム |
| 合格最低点から目標点を設定する | 頻出分野・単元を重点的に演習 | 同じ問題を最低3周は解く | 共テ対策の時間を計画に組み込む | マーク形式での失点ゼロを目指す | 必要な科目だけ対策する | 15分の仮眠を有効活用 | 体調不良のサインを見逃さない | 入浴で心身をリラックス |
| 英単語・古文単語・用語の暗記を習慣化 | 網羅系参考書を最低3周 | 教科書の例題・章末問題を完璧に | 志望校特化対策 | 共通テスト 利用対策 |
生活習慣と 健康管理 |
模試の判定に一喜一憂しない | 合格した自分の姿をイメージ | スランプの原因を客観的に分析 |
| 英文法・古典文法を夏までにマスター | 3教科の基礎徹底 | ケアレスミス撲滅ノートを作る | 3教科の基礎徹底 | 〇〇私立大学 合格 |
メンタルケアと モチベーション |
応援してくれる人の存在を意識する | メンタルケアと モチベーション |
「自分はできる」と信じ抜く |
| 地歴・公民の教科書を通読・音読 | 苦手分野をリストアップし潰す | 基礎問題での取りこぼしゼロ | 学習戦略と計画 | 情報収集と併願戦略 | 苦手科目・分野克服 | 週に半日は完全に休む | ライバルの存在を力に変える | 小さな達成を可視化して祝う |
| 年間・月間・週間計画を立てる | 模試の結果を徹底分析・計画に反映 | PDCAサイクルを回す(計画→実行→評価→改善) | 多様な入試方式(一般、全学部等)をリサーチ | 合格最低点・倍率の推移を調査 | 併願校の過去問にも目を通す | 苦手科目の原因を分析(知識不足?演習不足?) | 苦手分野に充てる時間を意図的に増やす | 基礎レベルの問題集に戻る勇気 |
| 勉強時間を記録・可視化する | 学習戦略と計画 | 科目ごとの時間配分を最適化 | 入試日程を熟読し出願プランを確定 | 情報収集と併願戦略 | 親・先生と納得いくまで相談 | まずは得意科目で自信をつける | 苦手科目・分野克服 | 質問できる友人や先生を見つける |
| ポモドーロテクニック等を試す | 秋以降は過去問演習中心に切り替える | 予備校・映像授業を有効活用 | 最新の入試情報を常にチェック | オープンキャンパスや説明会に参加 | 奨学金・寮などの情報を集める | 苦手意識のある単元を細分化 | 「分からない」ことを放置しない | 簡単な問題の反復で自信回復 |
科目別マンダラチャート活用術【実践編】
上記の全体戦略マンダラチャートを元に、さらに科目ごとの学習計画を深掘りする際の活用例を紹介します。私立文系は科目数が少ない分、1科目ごとの完成度がより重要になります。
英語
私立文系入試の最重要科目と言っても過言ではありません。大学によって長文の語数、文法問題の形式、英作文の有無など、対策が大きく異なります。マンダラチャートの中心を「英語で8割得点」などと設定し、具体的な行動計画を立てましょう。
- 志望校の長文読解対策: 速読力、精読力の両方を鍛える、段落ごとの要旨を掴む練習、設問形式(内容一致、空所補充など)に合わせた解き方を確立するなど。
- 文法・語法問題対策: 頻出分野(時制、仮定法、準動詞など)を完璧にする、正誤問題や整序英作文など、志望校の形式に特化した演習を積むなど。
- 単語・熟語の暗記: 使用する単語帳を1冊に絞り、完璧に覚える。派生語や類義語まで意識する。
- 英作文対策(必要な場合): 基本的な文法・語法のミスをなくす、使える表現のストックを増やす、論理的な文章構成の訓練、添削指導の活用など。
国語
国語も大学による特色が強く出る科目です。特に古文・漢文の要不要や、現代文の記述問題の有無は大きなポイントです。
- 現代文: 「論理的読解力の養成(接続詞、指示語に着目)」「漢字・キーワードの知識」「要約・記述問題対策(必要な場合)」「選択肢問題の解き方(消去法の徹底)」などを目標に設定する。
- 古文: 「古文単語と古典文法の徹底」「主語を補いながら読む訓練」「和歌や文学史など、頻出知識の暗記」「読解演習量の確保」などを配置する。
- 漢文(必要な場合): 「句形と重要漢字の暗記」を最優先し、白文で読む練習を重ねる。
選択科目(地歴・公民 or 数学)
得点源にしたい選択科目。教科書レベルの基礎知識をいかに応用問題に繋げられるかが鍵となります。
- 地歴・公民: 「教科書レベルの知識定着(通読・精読)」「一問一答での高速アウトプット訓練」「史料・図表問題の対策」「論述問題対策(字数に合わせた構成練習)」など、知識のインプットとアウトプットをバランス良く計画する。
- 数学(文系数学): 「公式の証明レベルでの理解」「典型問題の解法パターンの暗記」「計算ミスを防ぐための検算の習慣化」「志望校の頻出分野(微分・積分、ベクトルなど)の重点演習」などを設定し、安定して高得点を狙う計画を立てる。
年間・月間・週間スケジュールへの落とし込み方
マンダラチャートでやるべき事を洗い出したら、それらを具体的なスケジュールに落とし込むことが成功への鍵です。
例えば、マンダラチャートにある「英単語・古文単語の暗記を習慣化」というタスクを、実際の行動計画に変換します。
- 年間計画: 夏休みが終わるまでに主要単語帳を1周し、基礎を固める。秋からは過去問演習と並行して2周目に入り、知識を定着させる。直前期は志望校で問われやすいレベルの単語の最終確認。
- 月間計画: 今月は単語帳の1〜10章を完璧にする。月末の模試で成果を確認する。
- 週間計画: 1日2章ずつ進め、週末にその週の範囲(12章分)を総復習する。
- 毎日: 朝の通学中に15分、夜寝る前に15分、単語学習の時間を確保する。
このように、大きなタスクを具体的な日々の行動にまで分解することで、計画倒れを防ぎ、「今日はこれをやればいい」と迷うことなく、着実に目標達成へ近づくことができます。
まとめ
大学・学部ごとに戦略が大きく異なる長期戦、それが私立大学文系受験です。マンダラチャートは、複雑な入試情報を整理し、「今の自分に、この志望校のために、何をすべきか」を明確にするための強力な羅針盤となります。
今回ご紹介したテンプレートを参考に、ぜひあなただけのオリジナル合格戦略チャートを作成してみてください。計画を立て、実行し、見直すサイクルを回し続けることが、合格への最短ルートです。応援しています!