第3回:ブログの「癌」を見つけて削除する。サイト全体の評価を守るための苦渋の決断
これまでのシリーズでは、私のブログがGoogleに評価されていなかった根本原因が「YMYL」と「E-E-A-T」にあること(第1回)、そしてSearch Consoleを使い「読者の検索意図」とのズレを修正する方法(第2回)についてお話ししました。
Google検索に表示されない原因は?YMYLとE-E-A-Tの基本を解説 - 月影
Search Consoleの使い方|クリックされない記事を改善した具体的事例 - 月影
しかし、ブログが抱える問題の中には、リライト(書き直し)のような“治療”では手遅れなものも存在します。
それは、記事単体だけでなく、ブログ全体の評価を静かに蝕んでいく**「癌細胞」のような記事**です。
この存在に気づいたきっかけは、Google Search Consoleの「ページ」レポートで、インデックス未登録のページがあまりに多いことでした。該当の記事を確認すると、「国際政治・外交」や「特定の企業の経営分析」をテーマにしたものに偏っていることが判明。内容を精査すると、その多くで私自身の分析や主張に客観的な根拠が乏しく、これが大きな問題だと考えました。
Googleがなぜこれらの記事をインデックスしないのか。その背景には、Webサイトの品質を厳しく評価する仕組みがありました。
一生懸命に書いた記事を自分の手で削除するのは、本当に辛いことです。自分の努力や時間を否定し、敗北を認めるような気持ちになります。ですが、私は「苦渋の決断」として、20本近くの記事を完全に削除しました。
なぜなら、時には**「外科手術」こそが、ブログ全体の健康を取り戻す唯一の方法**だったからです。
今回は、私が「リライトではダメだ」と判断した記事の特徴、その具体的な削除基準、そして「どうしても書きたい」という情熱との向き合い方について、私の経験の全てをお話しします。
「ゾンビ記事」の見分け方:削除を検討すべき3つの基準
私が「サイトの癌」や「ゾンビ記事」と呼んでいるのは、単にアクセスがないだけの記事ではありません。それは、Googleから「品質が低い」「信頼できない」と判断され、サイト全体の信頼性を積極的に引き下げてしまう記事のことです。
私は、以下の3つの基準にすべて当てはまる記事を、削除対象と判断しました。
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基準①:非常にセンシティブな「YMYL」トピックか? (政治、法律、金融、健康など、人々の人生や財産に重大な影響を与えるテーマか?)
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基準②:自分自身が、その道の「専門家・権威」と言えるか? (そのテーマについて、実社会で認められる専門知識や公的な資格、長年の実務経験があるか?正直に「ない」と断言できるか?)
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基準③:記事内のすべての主張を「信頼できる一次情報源」で証明できるか? (政府の統計データ、公的機関の報告書、学術論文、企業の公式発表など、誰もが認める情報源へのリンクを、個人の見解を除くすべての主張に提示できるか?)
もし、あなたの記事が**「YMYLトピック」であり、かつ「基準②と③の両方にNO」**と答えるなら、その記事は残念ながら、サイトの評価を下げ続ける「ゾンビ記事」である可能性が非常に高いです。
【私の失敗談】なぜ、あの記事はリライトではダメだったのか
私が泣く泣く削除したのは、主に**「国際政治・外交」や「特定の企業の経営分析」**に関する記事でした。
これらの記事に、先ほどの3つの基準を当てはめてみます。
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YMYL? → YES。 まさに政治・金融のど真ん中です。
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私の権威性? → NO。 私は政治評論家でも、経済アナリストでもありません。
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情報源で証明できる? → NO。 いくつかニュース記事へのリンクは貼っていましたが、記事の核心は、それらの情報を基にした**「私自身の、専門家ではない独自の分析と論評」**でした。この「独自の分析」こそが、Googleから見れば「権威性のない個人の意見」と見なされる最大の要因でした。
なぜ、リライトではダメだったのか? それは、問題が「文章の表現」や「言葉遣い」ではなかったからです。問題は、「専門家ではない私が、専門的なYMYLトピックについて、権威ある分析記事を書こうとした」という記事の存在そのものにありました。
この記事を安全なものにするには、私自身の分析や意見をすべて削除し、信頼できる情報の引用・紹介に留める必要があります。しかし、それでは私が本当に伝えたかったこととは全く別のコンテンツになってしまいます。だからこそ、私はリライトではなく「削除」を選んだのです。
「でも、どうしても書きたい!」その情熱との向き合い方
「専門家じゃないと、政治や経済について意見を言ってはいけないのか?」 そんなことはありません。大切なのは**「場所」と「形式」を使い分ける**ことです。
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代替案①:Google検索を目的としない「オピニオン専門ブログ」を別に作る あなたのE-E-A-Tが重要なメインブログとは別に、純粋に自分の意見や考察を発信するためのブログを立ち上げる方法です。このブログはGoogle検索からの流入を目的とせず、SNSなどから「あなたの意見を読みたい」という読者だけを招き入れます。これにより、メインブログの評価を守ることができます。
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代替案②:SNSを主戦場にする X(旧Twitter)やFacebookは、まさに個人の意見や時事問題へのコメントを発信するのに最適なプラットフォームです。ブログ記事にするにはリスクが高い内容も、SNSの短い投稿やスレッドであれば、活発な議論のきっかけになり得ます。
【実践編】問題記事の正しい削除手順
記事を削除すると決めたら、Googleにその意とうを正しく伝えることが重要です。
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ブログから記事を完全に削除する (これにより、そのページのURLは「404 Not Found(見つかりません)」という状態になります)
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【推奨】Google Search Consoleの「削除ツール」で削除を依頼する Search Consoleの左メニューにある「削除」から、「新しいリクエスト」をクリック。削除したページのURLを入力して申請します。これにより、Googleの検索結果からそのページが一時的に(約6ヶ月間)非表示になり、インデックスからの完全な削除を促すことができます。
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サイトマップを更新・再送信する ブログの「地図」であるサイトマップから削除したページの情報を消し、最新の状態をGoogleに伝えることも丁寧な対応です。
まとめと次回予告
愛着のある記事を削除するのは、本当に辛い作業です。しかし、それは後退ではなく、ブログ全体の健康を取り戻し、未来へ進むための戦略的な前進です。
私が実際に低品質なYMYL記事を削除した後、すぐには変化はありませんでした。しかし、数ヶ月が経つ頃から、残した質の高い記事(和歌や体験談など)の検索順位が、少しずつ、しかし着実に上がっていくという、驚くべき変化が起こり始めたのです。まるで、サイト全体を覆っていた重い足枷が外れたかのようでした。
これでブログの「デトックス」は完了です。 次回は、いよいよ「これから何を書くべきか?」という、もっとも楽しく、創造的なテーマに移ります。
第4回:「好き」と「得意」を最強の武器にする。Googleに愛される専門ブログの作り方について、私の成功事例を基にお話しします。