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【活性酸素②】活性酸素が体に悪い理由とは?細胞を傷つける仕組みと関連する病気(がん・老化・生活習慣病)を解説

活性酸素が「体のサビ」と呼ばれる本当の理由。細胞への3つの攻撃とは?

なぜ活性酸素は危険なの?

活性酸素は体に悪い」とよく聞きますが、その理由は、活性酸素「非常に不安定で攻撃的」な性質を持っているためです。

物質は「電子」がペアになっていると安定しますが、活性酸素はペアでない電子(不対電子)を持つことが多く、非常に不安定です。そのため、安定するために手当たり次第、他の物質から電子を奪い取ろうとします。

電子を奪われた物質は「酸化された(サビた)」状態になり、本来の機能を失ってしまいます。これが、私たちの体の中で大切な細胞にダメージを与える「酸化ストレス」の正体です。

具体的に、活性酸素が細胞のどこを攻撃するのか見ていきましょう。

活性酸素による3大ダメージ

1. 細胞膜へのダメージ(脂質の酸化)

細胞膜は、細胞を守る大切な「バリア」であり、主に脂質(特に不飽和脂肪酸)でできています。活性酸素は、この脂質を格好のターゲットにします。

脂質が電子を奪われると「過酸化脂質」という、いわば「サビた油」に変わってしまいます。これが連鎖的に起こる(脂質の過酸化)と、細胞膜はボロボロになります。

その結果どうなる?

  • 細胞膜が壊れ、バリア機能が失われる。
  • 必要な栄養を取り込めず、老廃物を出せなくなる。
  • 細胞の働きが落ち、最悪の場合は細胞が死んでしまう。

2. DNAへのダメージ(遺伝子のエラー)

DNAは、私たちの体の「設計図」とも言える最も重要な情報です。もし設計図にエラーが起きたら、大変なことになります。

活性酸素の中でも特に攻撃力の高い「ヒドロキシラジカル」は、この設計図を直接攻撃します。

DNAの文字(塩基)の一つである「グアニン(G)」が攻撃されると、「8-オキソグアニン」という"間違った文字"に書き換えられてしまいます。

本来、設計図をコピー(複製)するとき、Gは「シトシン(C)」とペアになるルールです。しかし、間違った文字(8-オキソグアニン)は、Gのふりをして「チミン(T)」とペアを作ってしまいます。これが「遺伝子のコピーミス(遺伝子変異)」です。

もちろん、私たちの体にはこの間違いを修復する機能がありますが、修復が追いつかなくなるとエラーが蓄積していきます。

その結果どうなる?

  • 遺伝子変異が蓄積する。
  • 細胞のがん化を引き起こす原因になる。
  • 細胞の正常な機能が失われ、老化が加速する。

3. タンパク質へのダメージ(機能不全)

タンパク質は、筋肉や皮膚を作る材料であると同時に、消化や代謝を担う「酵素」や、情報を伝える「ホルモン」など、体を動かすための「精密な部品」でもあります。

活性酸素は、この精密な部品(タンパク質)も攻撃し、酸化させて変性させます。

その結果どうなる?

  • 酵素が働きを失い、体の化学反応がうまく進まなくなる。
  • 部品の形が変わり、細胞の構造が不安定になる。
  • 神経細胞などで異常なタンパク質が蓄積し、アルツハイマー病やパーキンソン病の一因になるとも考えられている。

ダメージの蓄積が「病気」や「老化」につながる

このように、細胞膜(バリア)、DNA(設計図)、タンパク質(部品)が同時にダメージを受けると、細胞は正常に機能できなくなります。

エネルギー工場であるミトコンドリアまで傷つくと、細胞は自ら死を選んだり(アポトーシス)、壊れて死んだり(ネクローシス)し、組織や臓器全体の機能低下につながります。

この「酸化ストレス」状態が長く続くことが、多くの病気や不調の原因と考えられています。

  • 老化の加速:細胞のダメージ蓄積による機能低下。
  • がん:DNAの損傷による遺伝子変異。
  • 生活習慣病動脈硬化、糖尿病、高血圧などへの関与。
  • 神経の病気アルツハイマー病、パーキンソン病など。
  • 炎症性疾患:リウマチなど、慢性的な炎症を悪化させる。
  • 心血管疾患心筋梗塞などで血流が再開する際に活性酸素が発生し、組織を傷つける。

まとめ:活性酸素は「諸刃の剣」

活性酸素は、細胞の大切な部分(脂質・DNA・タンパク質)を無差別に攻撃し、老化や病気のリスクを高めます。

しかし、活性酸素がすべて悪者というわけではありません。実は、免疫細胞がウイルスや細菌と戦う際、活性酸素を「武器」として使って病原体を殺菌しているのです。

大切なのは、活性酸素が増えすぎないようにバランスを保つこと」

酸化ストレスに陥らないようにすることが、健康維持のカギとなります。