トライアルは、ローカルなスーパーですが、最近西友という有名な会社を買収するというニュースがありました。そんなことになっているのに驚いて、トライアルについて調べてみました。
トライアルホールディングスは、福岡県に本社を置く急成長中の小売企業です。その成功の背景には、単なる安売りだけでなく、ITとデータを徹底的に活用した独自の戦略があります。
1. ITとデータをフル活用した「スマートストア戦略」
トライアル最大の強みは、まさにここ。最新のテクノロジーを駆使して、お店の運営を効率化し、お客さんの買い物体験を大きく進化させています。
* スマートショッピングカート: このカートにはタブレットが搭載されていて、お客さんは買い物をしながら自分で商品をスキャンし、そのまま会計まで済ませられます。レジに並ぶ必要がないため、買い物がスムーズに。さらに、お客さんがお店の中でどんな商品に興味を持ち、どう移動したかといった行動データもリアルタイムで取得。これにより、お店側はより細やかなサービス改善や商品陳列に役立てています。
* 自社開発のシステム: レジシステム(POS)や商品の管理システムは、グループ会社の「トライアルIoTイノベーションズ」などを通じてすべて自社で設計・運用しています。これにより、お店のニーズに合わせた柔軟なカスタマイズが可能になり、他社にはない独自の効率的なシステムを構築しています。
* AIを活用した需要予測と在庫管理: AIが商品の売れ行きを予測し、必要な商品を必要なだけ自動で補充。これにより、売り切れによる機会損失を防ぎ、同時に食品ロス(廃棄ロス)を大幅に削減しています。これはお店の利益向上だけでなく、環境負荷の低減にも貢献しています。
2. 徹底したローコストオペレーション
トライアルの創業者の方々は、アメリカのウォルマートを見て感銘を受けたと言われています。そのルーツから、「安さ」はトライアルの大きな魅力の一つ。徹底的なコスト管理で、驚くほど安い価格を実現しています。
* 物流の自社運営: 物流センターを独自に展開し、効率的な配送網を構築することで、流通コストを削減しています。
* プライベートブランド(PB)の強化: 自社で商品を開発・生産することで、中間マージンをカット。低価格でありながら高品質な商品を提供し、高い利益率を確保しています。これらの商品群がトライアルを支える屋台骨でしょう。
* 薄利多売モデル: 一つあたりの利益率を抑える代わりに、商品を大量に販売することで全体の利益を上げています。
3. 多様な店舗形態と国際展開
トライアルは、地域やニーズに合わせて様々な店舗形態を展開しています。
* 多様な業態: 「スーパーセンター」のような大型店舗から、ドラッグストア、ホームセンター、さらには都市型店舗まで、地域に合わせた最適な形式で出店しています。24時間営業やセルフレジ、電子マネー対応など、お客さんの利便性を追求したサービスも積極的に導入しています。
* 国際的なIT開発拠点: 中国に大規模なシステム開発拠点を持ち、数百人規模のエンジニアがトライアル独自のシステムを開発・運用しています。これは、トライアルが単なる小売業ではなく、IT企業としての顔も持つことを示しています。
* 多国籍な人材と海外展開: IT開発力だけでなく、積極的に外国籍の人材を採用しており、特に中国人の社員が多く活躍しています。これにより、多様な視点がビジネスに活かされています。さらに、韓国南部にも合弁で店舗を展開しており、日本国内にとどまらず、海外市場でもそのビジネスモデルを展開しています。
まとめ:なぜトライアルは強いのか?
トライアルは、**「ITを強みとするディスカウント小売業」**という、独自のポジションを確立しています。それだけでなく、福岡という地の利を活かした柔軟な現場主義と、顧客ニーズへの迅速な対応力も、その成長を後押ししています。
西友買収のニュースは、トライアルが今後も日本の小売業界で大きな存在感を示していくことを予感させます。彼らのDX先行型企業としての挑戦は、これからも目が離せませんね。
今日の一句
トライアル お得を抱いて 笑み交わす お客の声に 商い栄ゆ