ネットを見ていたら、facebookのGEMという香港の歌手のファンページで、「八苦七難」という言葉を見つけました。確か、七難八苦でなかったかと思って調べてみました。八苦七難は仏教の教えに由来する言葉で中国で使われてました。
八難(八つの難しさ)
八難は、仏教において真理(仏法)に出会うことが難しい状態や環境を指します。次のような8つです。
1. 地獄 - 地獄にいて仏法を聞くことができない。
2. 餓鬼 - 餓鬼道にいて、生活で精一杯で仏法に触れる余裕がない。
3. 畜生 - 畜生道にいて(動物)、法を聞くことができない。
4. 長寿天 - 長寿の天界にいて外道の修行が頻繁に行われ仏法を知る機会がないこと。
5. 辺地 - 仏法の教えが届かない辺境の地にいること。
6. 盲聾喑啞(もうろういんあ) - 聴覚や視覚を失い、仏法を聞けないこと。
7. 邪見 - 世俗的な考えや異端的な理論に取り憑かれてしまい、誤った見解を持ち、仏法を信じないこと。
8. 仏が出現しない時代 -お釈迦さまが生まれる前や亡くなった後は仏を見ることができません。また、仏滅後、仏法が廃れた時代に生まれること。
七苦(七つの苦しみ)
七苦は、人間が生きていく上で避けることのできない苦しみを指します。次のような7つです。
1. 生苦(しょうく) - 生まれること自体の苦しみ
2. 老苦(ろうく) - 老いることの苦しみ
3. 病苦(びょうく) - 病気になることの苦しみ
4. 死苦(しく) - 死ぬことの苦しみ
5. 愛別離苦(あいべつりく) - 愛する者と別れる苦しみ
6. 怨憎会苦(おんぞうえく) - 嫌いな人と会わなければならない苦しみ
7. 求不得苦(ぐふとっく) - 欲しいものが得られない苦しみ
これらの教えは、人生の苦しみを冷静に受け止め、自分自身の内面を磨くことの大切さを説いています。
一方、日本で言われている「七難八苦(しちなんはっく)」は、さまざまな困難や苦しみを総称する言葉です。山中鹿之介が我に「七難八苦を与えたまえ」と言ったのは有名な話です。日常的には、非常に厳しい状況や試練を表す際に使われます。この表現の起源には諸説ありますが、主に仏教や歴史的な用法から派生したものとされています。
七難
「七難」は、「避けられない災難や困難」を指し、具体的には次のようなものが含まれるとされています:
1. 火難 - 火災による災難
2. 水難 - 洪水や溺れなど水による災難
3. 羅刹難(らせつなん) - 鬼神や悪人による害。「羅刹」は、インド神話に登場する鬼神のような存在です。
4. 刀杖難(とうじょうなん) - 武器や暴力による災難
5. 怨賊難(おんぞくなん) - 恨みや盗賊による害
6. 牢獄難(ろうごくなん) - 投獄や拘束の苦しみ
7. 飢饉難(ききんなん) - 飢えや食糧不足の苦しみ
これらは、自然災害や人間関係における大きな困難を象徴的に示しており、仏教とは関係ない人生上の困難のことです。
八苦
一方で、「八苦」は仏教に由来し、生きる中で避けられない人間の苦しみを指します。具体的には以下のようです:
四苦(基本的な苦しみ)
1. 生苦(しょうく) - 生まれること自体が苦しみ
2. 老苦(ろうく) - 老いる苦しみ
3. 病苦(びょうく) - 病気になる苦しみ
4. 死苦(しく) - 死ぬことの苦しみ
これらの4つに、さらに以下の4つの苦しみを加えて八苦です。
6. 怨憎会苦(おんぞうえく) - 嫌いな人と会わなければならない苦しみ
7. 求不得苦(ぐふとっく) - 欲しいものが手に入らない苦しみ
8. 五蘊盛苦(ごうんじょうく) - 人間が生きているだけで起こる精神や肉体が原因となる苦しみ
このように、七難八苦は、人生における様々な苦難を包括的に表しており、古くから人々の心に重くのしかかる問題であったことがわかります。生きていくのも大変だし、仏法を聞くのは難しいことが古今東西で言われています。
以前ブログで触れた以下の歌がしっくりくるところです。
悲しみを もといとすなる 現世(うつしよ)に かすけきものか この喜びは
参考までにGEMさんの歌を紹介しましょう。