最近、自動車の販売台数を調べていた私は、ある事実に驚きました。 日本では年間10万台ほどのスバル車が、なんとアメリカでは年間70万台近くも売れているというのです!
日本では一部の熱心なファンに支えられているイメージのスバルが、なぜ海の向こうでこれほどまでの人気を博しているのか。その理由を、ネットやSNSの情報を元に徹底的に調べてみました。すると、そこには「偶然」ではない、巧みな戦略が見えてきたのです。
【人物像】スバルに乗るアメリカ人とは?浮かび上がる意外な共通点
まず、アメリカでスバル車を買い求めるのは、どのような人々なのでしょうか。調査から浮かび上がってきたのは、非常に明確な顧客像(ペルソナ)でした。
つまり、スバルは「知的でアクティブなライフスタイルを送る人々」に、強く支持されているのです。
なぜ、彼らはスバルを選ぶのか?5つの理由
では、なぜこの「知的でアクティブな層」は、数ある自動車メーカーの中から、こぞってスバルを選ぶのでしょうか。その理由は、彼らのニーズとスバル車の特徴が、驚くほど完璧にマッチしているからでした。
理由①:悪路や雪道も安心!圧倒的なAWD性能
アウトドア好きにとって、雪道や未舗装路を走る機会は少なくありません。スバルが誇る**「シンメトリカルAWD(全輪駆動)」**は、常に四輪にバランス良く力を伝えるため、悪路での走行安定性が非常に高いと評価されています。彼らにとって、この走破性の高さは、安全に自然を楽しむための必須条件なのです。
理由②:家族と自分を守る、最高峰の安全性
スバルの運転支援システム**「アイサイト(EyeSight)」**は、その高い事故回避性能で世界的に有名です。米国の安全評価機関(IIHS)から、複数モデルが最高の安全性評価「トップセーフティピック+」を獲得している事実は、安全を最優先する知的な顧客層に、絶大な安心感を与えています。
理由③:遊び道具も余裕!大容量の荷室とルーフレール
キャンプ道具、スキー板、自転車…。アウトドア派の荷物は自然と多くなります。スバルのSUV(フォレスター、アウトバックなど)は、大容量の荷室に加え、様々なアタッチメントを装着できるルーフレールを標準装備しているモデルが多く、まさに彼らのライフスタイルのために作られた車だと言えます。
理由④:デコボコ道でも快適な乗り心地
実は、アメリカの道路は、舗装されていてもコンクリート打ちっぱなしのデコボコ道が多いのです。私自身、以前アメリカでトヨタのカローラとカムリを運転した際、車格の大きいカムリの方が圧倒的に乗り心地が良かった経験があり、道路事情が車の選択に大きく影響することを実感しました。 スバル車が採用する**「水平対向エンジン」**は、重心が低く、走行時の揺れが少ないのが特徴です。この安定性が、アメリカの道路事情においても、快適な乗り心地を実現しているのです。
理由⑤:賢い選択の証!高いリセールバリュー
所得が高い層とはいえ、買い物にはシビアです。スバル車は、中古車市場での人気が高く、数年乗っても価値が落ちにくい**「リセールバリューの高さ」**で知られています。これは、車を資産と考えるアメリカの消費者にとって、非常に大きな魅力となっています。
心を掴む、スバルの巧みなマーケティング戦略
スバルは、車の性能だけでなく、その伝え方も秀逸です。
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犬を使った広告戦略 スバルは長年、「The Barkley's」という犬の一家を主役にした、心温まるCMシリーズを展開しています。これは、犬を家族同然に愛する顧客層の心をがっちりと掴んでいます。
- 徹底した社会貢献活動 「Share the Love」と題したイベントでは、車の購入代金の一部が、国立公園の保護団体や動物愛護団体(ASPCA)などに寄付されます。環境や社会への意識が高い顧客層は、スバル車を買うことで、自らの価値観を表現することができるのです。
まとめ:スバルは、ただの車ではなかった
今回の調査を通して、スバルがアメリカで成功しているのは、決して偶然ではないことが分かりました。 「知的でアクティブなアウトドア好き」という明確なターゲットに対し、彼らが求める「安全性」「走破性」「実用性」を追求した車を作り、彼らの価値観に響く「愛」のあるメッセージを送り続ける。 この一貫した戦略こそが、スバルを唯一無二のブランドに押し上げているのです。
ハイブリッドやEV化の波が来る中、スバルが今後どのように進化していくのか。そして、私自身も、次に車を買う時には、この魅力的なブランドを真剣に検討してみたいと思います。
ハイブリッド車については、次の記事(スバルの最新ハイブリッドシステム:e-BOXERからストロングハイブリッドへ )をご覧ください。
アウトバックについては、次の記事(【人気の秘密を徹底解剖】なぜアメリカ人はスバル・アウトバックを「最強のファミリーカー」と呼ぶのか?)をご覧ください。
スバルの広告戦略については、次の記事(【マーケティング編】広告だけじゃない!スバルの巧みな「コミュニティ戦略」とは?)をご覧ください。