退職で仕事を辞めた後、私がまず行ったのは、職場からもらった離職票を持ってハローワークへ向かうことでした。目的は高年齢求職者給付金の申請です(リンク)。この給付金は、退職後1年以内に申請すれば受け取れる一時金で、生活の立て直しや次の挑戦のために大変有益な制度です。失業手当は65歳未満でないと受け取れないようになっています。
**【ご注意】**本記事は情報提供を目的としており、個人的な見解も含まれています。職業訓練等については、必ずハローワークにご相談ください。
給付金の申請を終えた後、私は専門スキルを身につけたいと考え、学び直しに挑むことを決意しました。人生100年時代といわれる今、自分の価値を高めるためには、新たなスキルを習得することが必要だと思ったのです。特に、調理師資格の取得やIT技術の習得に関心がありました。調理師資格は家庭でも役立つスキルを磨け、ITスキルはオンラインでの多様な働き方を可能にする点で魅力的です。
年齢による壁との遭遇
ところが、ハローワークで職業訓練校への入校を希望したところ、「年齢を理由に就職の見込みが低い」と判断され、手続き自体ができませんでした。この結果に驚いたので、ハローワークでの職業訓練について調べてみました。以下は厚生労働省のハロートレーニングのリンクです。
ハローワークでの公共職業訓練への65歳以上の高齢者の受講ができない背景には、制度上の合理性や運用上の理由があります。
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税金投入の費用対効果 職業訓練は税金で賄われる公的事業です。そのため、訓練後の就職率が高い層を優先するのは、政策として一定の合理性があるという考え方があります。訓練の選考では「訓練後の就職見込み」が重視されるため、統計的に再就職が難しいとされる高齢者が不利になるのはやむを得ない、という見方です。
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コース内容とのミスマッチ 特に若年層の育成を目的としたコースや、高いITスキル、体力を要するコースなどでは、高齢者の受講が訓練の目標達成や本人の適性と合わない場合があります。そのため、企業実習付きの訓練などで「55歳未満対象」といった事実上の年齢要件が設けられることもあります。
職業訓練が制限されるのは個人的見解ですが、以下の課題があるように感じます。
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働く意欲と機会の阻害(エイジズム) 「人生100年時代」と言われ、健康で働く意欲のある高齢者が増えています。年齢を理由に学び直し(リスキリング)の機会が狭められることは、個人の自己実現を妨げるだけでなく、年齢による差別(エイジズム)を助長する可能性があります。
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労働力不足という現状との矛盾 日本は深刻な労働力不足に直面しており、高齢者は貴重な労働力として期待されています。政府も高齢者雇用の推進を掲げている中で、その担い手となる高齢者のスキルアップを公的機関が阻害するような運用は、国全体の政策と矛盾します。労働力不足の対策として、女性、高齢者、外国人が期待されています。厚労省の報告書にリンクを貼っておきます。
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高齢者の経済的困窮と社会的孤立への懸念 年金収入だけでは生活が苦しく、働き続けることを希望する高齢者は少なくありません。再就職に必要なスキルを習得する機会が失われることは、高齢者の経済的困窮に直結する死活問題です。また、就労は経済的な安定だけでなく、社会とのつながりを保ち、孤立を防ぐという重要な役割も担っています。以下のように、高齢者の暮らし向に心配がある人が3割いるという内閣府の報告があります。
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硬直的な制度設計 現在の制度は、65歳を境に雇用保険の扱いが「失業等給付」から「高年齢求職者給付金」に変わるなど、一律の年齢で区切られています。個人の健康状態や働く意欲の多様化に対応できておらず、制度自体が時代に合わなくなっているという指摘もあります。
まとめ
高齢者の中には65歳以上になっても元気で働いて社会に貢献する意欲を持つ方もおられるし、労働力不足に有効です、時代に合わせる上で、そう言った方にも職業訓練を受けれるように行政が動いてもらえるといいなと思います。